2006.Dec.9
先週に引き続き、河川敷採集です。 今回のターゲットはオサムシ・ゴミムシではなく、 未採集のスカシバガの幼虫です。その名は
キオビコスカシバ
かつては相当な珍種だったそうですが、 寄主植物がナツグミ・アキグミ・ツルグミと判明してから各地で採れるようになりました。 東京に生息しているのかは不明なのですが、富士川河川敷には生息しているそうです。 久々に東京を脱出しての採集ということで、 オサムシもこちらでは採れないものが採れると期待して、 朝4時に起きて、雨に打たれながら出発しました。
8時半頃、最寄り駅に到着。気温は約5℃。雨も降っています。 カッパを装着して、目星をつけていた場所へ歩きます。
富士川です。河原のすぐそばまで山が迫ってきています。
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目的地までは1時間ほど歩く予定でしたが、30分ほど歩くと、なにやら良さそうな場所を発見。
川の中州に、潅木がたくさん生えています。 葉の色がまだ青々としていて、この時期のヤナギとは異なります。 採集に充てられる時間は限られているので、近場で良い場所があればそれにこしたことはありません。
確認のためちょっと降りてみると、
堤防にも同じ葉色の木が。
少なくとも、グミの仲間です。ということは、中洲の木も、みんなグミという可能性高い。
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幸運にも、中洲と堤防の間には水が流れていません。 柔らかい砂の川底を歩いて中州に上陸します。
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中洲、そこはグミの林でした。視界に見える緑色の葉の潅木は、すべてグミ。 少しだけ見える黄色い葉の木はヤナギです。
ここならキオビコスカシバもいるだろうと、自信を持って探索開始しました。
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キオビコスカシバの幼虫はグミの木の根元付近の樹皮下に穿孔し、糞を外に排出します。 つまり、木の根元に出ている糞を探せば良いのです。
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しかし、それほど簡単には見つかりません。 木が細すぎたり、根元が下草に覆われていたりと、 グミはたくさんあるにもかかわらず、条件が良さそうな木は意外と限られています。
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しばらくして、
やっと、見つけました。幹から出た糞が、地面に堆積しています。
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樹皮下に幼虫もいました。樹皮下を派手に食い進んでいるのがわかります。体長10mmほど、まだ若い幼虫です。
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反対側にも幼虫がいました。頭を下にして隠れようとしています。 こちらは体長20mmほど、老熟幼虫でしょうか。
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ようやく目的のキオビコスカシバ幼虫を見つけて、追加を得ようと探索を続けますが、 なぜか後が続きません。
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こういう食痕はよく見られます。普通なら、キオビコスカシバを疑いますが、
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中にいるのは決まってゾウムシ幼虫。グミをめぐって競争関係にあるのでしょうか。 正体を突き止めるためにこれも採集します。
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しばらく探索してもゾウムシしか見つからず、上着の裾・ズボン・靴はずぶぬれに。 このまま探索を続けても追加は得られそうにないと判断し、もうひとつの目的、オサムシ採集に切り替えるべく、 一旦川を離れて山の方に行きます。
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このあたりで採れるオサムシはシズオカ・スルガ・オオクロナガ・マイマイカブリ
主な越冬場所は前2種は崖、後2種は朽木。 オサ掘りができそうな崖を求めて林内に入りますが、 急峻な地形のため、ほとんどすべて崖という状況。 どこを掘ったら良いのやら・・・。
こんな感じの、ちょっとした崖を掘ってみますが何も出ません。
条件を変えてあちこち掘りましたが、オサムシはおろか昆虫が出現せず、 ズボンが泥だらけになって、手鍬の角度がわずかに変化したくらいでした。
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研究室の虫の世話のため、昼頃には現地を後にしなければなりません。 オサ掘りは不発のまま、来た道を引き返します。
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来た時と同じ橋を渡ります。 思ったより早く戻って来れたので、画面右手に見える狭い河川敷で最後の悪あがきです。
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先週訪れた多摩川と同様、大量のゴミが漂着していました。 これらをひっくり返していくと、
カワチマルクビゴミムシ
Nebria出現(これはなぜか学名で覚えています)。 色もついていてちょっと良いゴミムシです。(府中市で採ってなければもっとうれしかったかも)
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ちなみに、バイクのサドル?の下に隠れていました。 この後、周囲のゴミを片っ端から起こすと結構見つかりました。 ゴミの下にはすぐ砂がある所が好みのようです。
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駅に着いて荷物整理し、昼食を食べていると、なにやら虫が床にひっくり返っていました。 遠くから「センチコガネかな?」、すぐそばに寄って「シデムシ?」、 拾ってみると、金属光沢があって、軟らかい。
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ヒメツチハンミョウ
(帰宅後に軟化整形して撮影)
これは結構うれしいです。
目標としてたキオビコスカシバは無事に採集できました。 恒温室を使えば1ヶ月ほどで成虫が羽化してくる予定です。 幼虫の穿孔状況は把握できたので、 そのうち多摩川や周辺の里山で探してみたいです。
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オサ掘りでは、まだまだ能力・経験値が足りないと思い知りました。 朽木ではわりと採れるのですが、崖掘りはどうも苦手です。 もっと、修行しないといけませんね。
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最後になりましたが、グミが生えていそうな場所を教えてくださったしまちゃんさん、どうもありがとうございました。
翌2007年のこと・・・
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キオビコスカシバ
25℃の恒温室で飼育して、1月に予定通り羽化してきました。
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ワモントゲトゲゾウムシ
3月には不明ゾウムシ幼虫が無事に羽化しました。
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