2006.Jan.15
今年の冬は厳しい寒さと激しい乾燥が続いていましたが、 昨日は東京でほぼ2ヶ月ぶりのまとまった雨が降りました。 動植物にとっては恵みの雨だったことでしょう。 本日は朝から晴れて気温も上がり、昨日までの寒さに慣れた体には 春が来たのかと錯覚してしまうほどです。
これは、野外へ出なければ。
ということで、研究室での仕事を早々と終わらせ、 帰宅途中に南方へ進路を変えて川崎市へ。 短時間なので、スカシバガ類の老熟幼虫採集に絞ります。
電車を乗り換え、駅から走り、あっという間に現地到着。 稲の刈り株が整然と並んでいるのを横目に、 まずはヘクソカズラポイントへ急ぐ。
ここがそのポイントです。
ヘクソカズラにはヒメアトスカシバが虫エイを作ります。 昨年の探索結果では、ヘクソカズラはこのエリアに広く分布し、 ヒメアトスカシバ虫エイも広く発見されるのですが、 ここの一角が一番密度が高いのです。 その時採集した繭からはついに成虫が羽化することはありませんでした。 恒温室が自由に使えるようになった今こそ、再挑戦の時です。
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で、さっそく一番手前のツルから見ていくと、
探索開始わずか10秒、あっけなく見つかりました。 この中に黒い繭が入っていればアタリです。 早速割ってみると・・・、
残念、からっぽでした。 繭を作らず途中で死んでしまったようです。
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とりあえず、昨々シーズンと同様に、 昨シーズンも♀がここに産卵していることがわかりました。 すぐに別の虫エイを探し始めます。
なにしろここは高密度エリア、 虫エイは次から次へと見つかるのです。
10秒後、二つ目を発見。 割ってみると、
今度は羽化脱出した後でした。すぐに次を探します。
前の虫エイの斜め上10cmにまた発見。 今度はどうか・・・。
鱗翅目幼虫(黒くて小型)出現。 でもヒメアトスカシバではないようです。
次は根元付近に虫エイを見つけました。 しかしここで切ってしまっては株の存続にかかわりそうなので、 ポイントを維持するためにもそのまま放置。
(注:これまで割った虫エイはすべて分枝に作られたものです)
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こういった作業をすばやくこなしていくわけですが、 なかなか幼虫は見つかりません。
ここで、採集記をご覧のみなさまも虫エイ探索を疑似体験してみませんか?
この画像の中に虫エイがいくつかあります。 さてどこにあるでしょうか? 答えは最後に。
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で、これだけたくさん虫エイを割れば いくつかは当たるものです。
こんな近接した場所に2つあることも。 ちなみに両方とも空でした。
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10個くらい割ったところで、ひときわ大きな虫エイを発見。 さっそく割ってみると、
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なんと、繭が2つも入っていました。 ひとつは強い衝撃を受けて割れてしましました。 その割れ目から見えたものは、
いました、これがヒメアトスカシバ幼虫です。 やっと見つけました。 「やっと」といっても、探索開始から10分弱。
割れなかった方はこれです。 繭の継ぎ目もしっかり閉じているので、 中の幼虫は生きているはずです。
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この虫エイが見つかった付近で立て続けに繭を発見。 探索開始から15分ほどで満足して、このポイントを後にしました。
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途中で奇妙なオブジェを発見。
ササを束ねて作ってあり、頂点にはダルマが乗っています。 なんのためにこんな高い塔を作ったのか・・・。
2006.1.18追記 「とんど焼き」又は「どんど焼き」という、 小正月に正月飾りや門松などを燃やすお祭りのために集められたものと判明 情報ありがとうございます>ムシムシQさん
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次に目指すのはエビヅルポイントです。
エビヅルにはブドウスカシバとムラサキスカシバが穿孔します。 前回はいくつか虫エイを持ち帰ったのですが、 寄生蜂やカビが発生して結局1匹しか羽化せず。 今回は追加個体を、そしてあわよくば今年の目標のひとつであるムラサキスカシバを・・・。
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で、ポイントに到着。 しかし、道沿いにあるため剪定されており、枝は少なかったです。 しかし、なんとか2つ発見しました。
これは先端付近にあったので採集。 もうひとつは根元から20cmくらいにあったので放置。
次のポイントに進みます。
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次はノブドウポイントです。
ムラサキスカシバはノブドウに好んで穿孔するらしいので期待していたのですが・・・、 見事に剪定されていました。 ただでさえエビヅルより幹の肥大が遅いというのに。 別の場所で太いノブドウを探すしかありません。
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最後に、このエリアで唯一モミが生えている場所へ行ってみました。
薄暗い森の中で落枝を拾っては割っていきますが、 カミキリらしい食痕はあるものの古い材ばかりで幼虫は見つからず。 これは木登りして上の方の枝を採るしかなかそうです。
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暗くなって外灯もついてきたので帰途につきます。 他にも探したいポイントがあるのですが、それはまた後日。
虫エイ探索擬似体験の答えです。