2006.Mar.12
卒業式まであと2週間。 4年生のみんなはどうしているかというと、 海外旅行に出かける人、会社に召集かけられる人、帰省する人、
そして、相変わらず毎日研究室に通う人。
大学生の長い春休み、皆それぞれの生活を送っています。
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私も無事卒業するんですが、 卒業旅行なんて行けるはずがないです。 4月までに修士課程の研究計画を立てて、 7月までは採集に出る時間すらない。 その前に、もう一度奥多摩へ行っておきたい。
というわけで、卒業旅行のかわりに 私のメインフィールドのひとつへ行ってきました。
昨日は水田の恒温室に宿泊。 事前に掃除機で床はきれいにしておいたのですが、 相変わらずエアポンプなどの音がうるさいです。
朝5時、20kgくらいの装備を持って出発です。
20kg = 新鮮クヌギ材2本+新鮮ホオノキ材2本+バケツ+スコップ+たらい+羽毛+ナタ+ノコギリ+食料+デジカメ+・・・・
一応、今回の目的は①トラップ設置②材採集③オサムシ掘り
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ここに来るのも3ヶ月ぶりです。
12月の採集記は昆研HPを参照
ここからバスでさらに奥地へ。
この地域のシンボル的存在の岩です。 知っている人はすぐあの美麗虫を思い浮かべるはずです。
でも今回の目的地はここではありません。 写真撮影後、ひたすら登山口を目指します。
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突然、周辺視野が何かを捕らえました。
舗装道路の脇に何かが。
ルリタテハでした。
前日の暖かさで出てきたものの、 再び寒くなって動けなくなった模様です。 捕まえて確認してみると♀だったのでリリース。 先を急ぎます。
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やっと登山口に着きました。 ここから20kgの装備を担いで登ります。 気温は思ったより高く、強い南風が吹いています。
ミズナラ主体の落葉樹林。 平坦で歩きやすいように見えますが、
実際は結構急な斜面を歩いています。
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トラップを設置しながら歩くこと1時間。 見晴らしが良い場所に出て一休み。
この時期は植林地帯が一目でわかります。 昔の人はかなり上まで進出してたんですね。
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出発して少し歩くと、ブナの落ち枝がありました。
ここでは未採集のタカオメダカ、いるかどうか不明なブナケシ(仮)を狙って 枝を折ります。
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タカオメダカは出てきません。 不明幼虫はかなり出てきました。 材を持ち帰って羽脱を待ちます。
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さらに進むと、倒木ゾーンに突入。 さっそく1本削ってみることに。
針葉樹(モミかツガ)のようです。 オサムシを期待してナタで側面を削っていくと
小さいゴミムシが登場(名前は後日)。そして、
ホンシュウキオビホオナガスズメバチ女王も出現
2007.1.25追記 当初はキイロスズメバチとしていましたが誤同定でした。
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しかし、これ以外何も出てこないので、次に移動。
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3ヶ月前、削り残した倒木を発見。
ナタを取り出して、1発、2発、3発
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やらせ・編集一切なしで、本当に3発で出てきました。
クロナガオサムシです。
2007.1.25追記 当初はチチブホソクロナガオサムシとしていましたが誤同定でした。
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さらに他の部分を削ってみますが、出てくるのはこんなものばかり。
アブの蛹です。とりあえず、4匹持ち帰ることにして、 次の場所へ移動。
とにかく、倒木・立ち枯れがいたるところにあります。 普通の人はあまり採集に来ないみたいなので、 夏に来れば最高に面白いはずなのに・・・。
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歩きながらいろんな材を採集してきてますが、ここでその1つを紹介
暗くてよくわかりませんが、ハリギリです。
昨年7月に発見しておいた立ち枯れです。
これにつくカミキリ、何が思いつきますか?
有名なもので、カエデノヘリグロハナ、センノキ、ジュウニキボシ
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幹を見ると、樹皮が一部はがれていて、巨大な食痕が見えます。 これはセンノキとみられます。 昨年7月にこの木でセンノキ♀を採集しているからです。
これは材採集不可能なので、 地面に落ちている枝でジュウニキボシを狙います。
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太さは、親指くらいのものでOK。 折ってみて、樹皮下に食痕があればそれをたどります。
こんな風に幼虫が出てくればアタリです。
これは脱出孔です。 この枝の別の部分にはまだ幼虫が入っていました。
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午後になって風向きが変わり(いつものことですが)、 北から冷たい風が吹いてきて雨も落ちてきたので下山することにしました。
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途中、東京都では非常に珍しいカミキリムシを材から割り出し、 ここは本当に面白い場所だと実感。
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2007.3.30追記
ビャクシンカミキリ
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ちょうど前年にヒノキの間伐を行ったようで、 たくさん材が転がっており、 その中のひとつの樹皮をはぐと食痕が見られ、 材部への進入孔を慎重に削ると現れました。 この分だと、来年は大発生の予感・・・。
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16時のバスで奥多摩駅に戻り、 水田に一度寄ってから帰宅。 帰りの装備は10kg強・・・・。
これであと4ヶ月来られないと思うと、不思議といろんなものが採れてしまいます。 今日仕掛けたトラップも、たぶん健脚な後輩が6月に1度回収してくれるはず。
8月に入ったら、また必ず行って、 ネキやスカシバガを採りたいです。
後日
ハリギリ材から狙い通り出てきました。
そして、アブの蛹からは・・・、
チャイロオオイシアブ?(断定はできません)
2007.1.25 追記 チャイロオオイシアブあるいはオオイシアブだそうです。羽化後、時間が経って成熟すると色が変わるらしい・・・。