2006.July.9
金曜日の夜中に調査地に行き、土曜日夜明けから調査。 昼に研究室へとんぼ返りして実験を済ませる。
さあ、ここから24時間は自由時間。 先週に引き続き、奥多摩行きの電車に乗り込む。 体調は寝不足以外はかなり回復。 気道も痰が頻繁にからむものの、ほぼ100%の口径を確保。 ところが、体調と反比例するように天気は悪化。
昆研の某先輩のお言葉 「雨の方が虫が採れるね」
これを継承すべく、装備を改良して挑みます。 今回は不覚にもデジカメを研究室に置き忘れたので事後撮影の画像が中心となります。
調査地で毒ビンを割ってしまったので、 急遽ペットボトル毒ビンを用意しました。
酢酸エチルを入れても変色・変質は見られず、 問題なく使用できそうです。
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午後7時、目的地に到着。バスの運転手さんの話によると、 夕方に豪雨があったらしいです。気温は18℃と高いのですがこれでは虫の飛来は・・・
灯火への虫も集まりもイマイチ・・・(先週と同じ画像です)
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しばらくして、しまちゃんさんと合流。 長野方面での成果を拝見。 なかなかいいカミキリ採ってました。
灯火はなおも低調、雨も降ってきたので仮眠を取ることに。 カミキリはドウボソ、チャボヒゲナガなど。
シロスジカミキリ♂
しまちゃんさんに見つけていただきました。
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翌朝、霧の中を登山開始。 湿度100%、蒸し暑い中をひたすら登ります。
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しばらくして、シナノキのポイントへ。 それぞれ目視・長竿で探しますが、食痕はわりとあるものの本体は見つからず。
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探索開始10分くらいでしょうか。 シナノキの葉が重なった所を見上げると、カミキリの影が・・・。 逆光でよく見えないが、シナより小さく胴体が短い。 眼が慣れてくると、上翅の両脇に小さい白点が・・・。
これは、間違いない、アレしかない。 慎重に近づき、大胆に親指と人差し指でつかむ。
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ヨコヤマトラカミキリ
野外採集は初です。 まさかこんな時期に採れるとは・・・。
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このあたりで雨が振ってきたので林内へ突入し、先へ向かうことに。 しばらく倒木エリアなどで虫を探索しつつ、 サワフタギのポイントへ。
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ポイント到着。
ここで荷物を置き、探索開始。 しまちゃんさんは目視でトガリバホソコバネ探し。 私はビーティングネットで甲虫目当てに叩きまくります。
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枯れ枝を叩いてゴマダラモモブト、エゾサビなどのカミキリを採るも、 雨だからか数は少なめ。
トガリバも一応気に留めてはいるが見つからず。 ここまで来て見つからないと結構ダメージ大きい。
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そんな中、しまちゃんさんがこちらに歩み寄る。
「トガリバ採れたよ」
タッパーの中には橙色タイプが入っていました。 根元ではなく手がやっと届くくらいの高さにいたとのこと。 とりあえず、採れて私も一安心です。
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その後、私はビーティングの鬼と化す。 倒木、枯れ枝はかなり豊富なので、 一人では叩ききれないくらいあります。 塩ビ管を叩き棒としてビシバシ叩きます。
大量に落ちてくる枯葉・枝の破片を選り分け、 ニセビロウド、キッコウモンケシ、シロオビチビなど、枯れ木に集まる各種カミキリを採集。・
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そして、運命の瞬間。 薄暗いところに倒れている倒木のそばの細い枯れ枝の塊に 叩き網を滑り込ませ、 塩ビ管で1発、叩く。
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ボトッ。 今までと同じように平面的な枯葉が落ちる中、 ひときわ大きな立体的物体が落下。
暗くて瞬時には見えないが、 長い触角からカミキリということがわかる。 そして、背中がラクダのように盛り上がっている。!!!
フジコブorセダカ
眼を近づけてよく見ると、 今まで採集したことがない方のコブヤハズカミキリでした。
セダカコブヤハズカミキリ♂
(亜種イワワキセダカコブヤハズカミキリ)
昆研の先輩方も採っている、奥多摩憧れの虫のひとつ。 好採集地が採集禁止となってしまったため、 東京都ではなかなか採りにくくなっています。 同じくこのカミキリが大好きなるどるふさんのパワーが届いたのかも。 (本日はご多忙につきご一緒できず残念でした)
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猟犬の声+銃声が聞こえる中でしばらく粘った後、下山することに。
途中、もう一度シナノキのポイントへ行きますが、 シナカミキリは結局見つからず。 もう発生終わりだったのでしょうか。 しまちゃんさんはヨコヤマトラを狙っていましたが、 こちらも採れず。
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最後に、土場を見てウスイロトラカミキリを採った後、 しまちゃんさんの車で本町水田へ。 府中はまだ雨が降っていないようでした。 そして再び研究生活に戻ります。
私はもともとビーティングは好きではないので、 枯れ木に集まるカミキリはあまり採れてません。
今回、雨の中でその威力を知り、 「これからはビーティングもやらなければもったいない」、 そんな風に思いました。悪天候の中ご一緒いただいたしまちゃんさん、 前日からの強行日程の中、 どうもありがとうございました。 また機会がありましたらよろしくお願いします。