奥多摩:紅葉の始まり

2006.Nov.4

11月に入り、山の方から紅葉が降りてくる時期になりました。 奥多摩も山の頂はもうきれいに色づいていますが、 麓の方はまだまだといった感じです。

毎年、11月3日文化の日に材採集に行っていたのですが、 前日に稲刈り&収穫祭が入ったので今年は1日遅らせて行ってきました。 カミキリムシ探索は前回で終了なので今回は特に目標はなし。 とりあえず行けば何か新しい虫が採れるはずです。


土曜日早朝、水田を発ち電車で奥多摩駅へ。 いつものバスに乗って目的地へ。 紅葉シーズンなのに乗客はわずか。 マイカーで来る人が多いため、バスの本数は減るし終点まで行けなくなるし。 だからマイカーで行く人が増える、悪循環。

view061104.jpg

天気はあまり良くありません。 紅葉は樹種によってばらつきが大きいですが、山の頂はもうすっかり色づいています。

road061104.jpg

森の中に入ると、一面の落ち葉。 夏に来た時よりずっと明るく感じられます。

良さそうな朽木を求めて あちこちさまよいます。

(中略)

2時間ほど古道や獣道や沢をたどって、名もなき尾根へ。 良さそうな朽木がやっと見つかったので割ってみることに。

abu061104.jpg
アブの幼虫

もしかしたら、見事なハナアブかもしれない。期待を込めて持ち帰ります。 (これを持ち帰る人はかなり稀でしょう)

madarakuwagata061104.jpg
マダラクワガタ

食痕を見つけてたどると、赤腐れで若干乾燥気味の材におなじみの姿。 幼虫とともに持ち帰り(もう奥多摩産は採ってますが、今日初めての甲虫なので)。

ここで、私の頭上をヘリコプターが飛び回る。 ものすごい爆音のため、しばらく活動休止。遭難者が出てしまったのだろうか・・・。

ヘリが飛び去ったので、採集再開。

shirotora061104.jpg
シロトラカミキリ

蛹室で春を待っていたようです。 材内成虫越冬だったんですね。

carabid061104.jpg
クロナガオサムシ

素手で崩せるくらい軟らかく朽ちた材に入っていることが多いです。 本種だけを採るのであればナタを使わないで採集するのがお勧めです。 1ペア採集。

hisagogomidama061104.jpg
ヒサゴゴミムシダマシ

飛べない甲虫です。実は、初採集です。 2exs.採集。

見られた昆虫は、これくらいです。あとは、私に寄ってきたハエと 林床を飛び回るガガンボくらい。 もう、冬が迫っているんですね。

昼過ぎに下山して、行きに目星をつけていた材へ。 ケヤキ大木の下にある、この夏に折れた落ち枝です。

shokkon061104.jpg

ノコギリで切ると、樹皮下および材部に食痕が。 細かい木屑がぎっしり詰まっているのでおそらくトラカミキリ系です。

larva061104.jpg

幼虫が穿孔している材は手で適当に折ると、 幼虫がいる場所で折れることが多いです。 トラカミキリ系の幼虫のようです。

larvab061104.jpg

ここにも。 候補となるトラカミキリはキイロ、キンケ、クロ、ウスイロ、エグリ、アカジマ。

larvac061104.jpg

幼虫その3。 ちょっと赤っぽいようにも見えるこの個体。 もしかしてアカジマトラか? それとも、キイロトラか?

材割りの最中に昆研の先輩と偶然にも再会。 奥多摩に通い詰めた先輩カミキリ屋四天王のうち、私ともっとも年が近い先輩です。 フィールドでの遭遇は初めてなのでとても驚きました。

wood061104.jpg

とりあえず、このくらい持ち帰り。何に化けるか楽しみです。

帰り道、救急車・山岳救助隊の車両が一般車両をなんとか追い越しながら 次々と山の方へ走っていきました。 先ほどのヘリは、やはり遭難者捜索だったのだろうか・・・。


今回は特に目標もなかったので沢下り・斜面下り・獣道探しといった ハードなハイキングになりました。 最後に採集したケヤキ材から何が出てくるのか、 来年の夏がとても楽しみです。

stock061104.jpg


そして、翌2007年6月のこと・・・

0706akajimatora.jpg
アカジマトラカミキリ

ケヤキ材の箱の中では、期待通りの赤い影が動き回っていました。

inserted by FC2 system