2006.Nov.25
もうすぐ12月、山も里も虫の気配が日を追うごとに少なくなっていきます。 この時期の甲虫屋さんの2大採集は、
オサ掘り
材採集
今回は、その両方を兼ねて行ってきました。 オサムシでは、ホソアカガネオサムシが目標。 奥多摩からもわずかながら記録があり、「東日本のオサムシ」で採集イメージはバッチリです。 材採集は、適当に、状況次第で。 その他、私が「カッコイイ」と思った虫は採集します。
前夜は飲み会、水田で4時間睡眠の後、出撃。 >バスに揺られ、いつもの場所から出発。ちなみに、当地ではまだクマが活動していることを忘れずに。
上の方はもう枯れていますが、麓の方はちょうど紅葉が見頃です。 赤、黄、緑、茶、・・・・。
1本の木で3色のグラデーションが楽しめるものも。
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いつものように、きつい山登りを開始。
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半分ほど過ぎた頃、突然、10m先から巨大な物体が現れて 私から遠ざかっていきました。
50mほど先の斜面でこちらをうかがっています。 当初はイノシシと思っていましたが、キバが見えなかったことを考えると ニホンカモシカ?
とりあえず、相手がクマでなくてよかったです。
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森はすっかり落葉していてとても明るいです。 どんどん登って標高をかせぎ、 ある程度まで来てから朽木を探します。
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ホソアカガネオサムシの事前のイメージ
「地面に接していて、湿った軟らかい朽木に潜っている」
おそらく、手で崩せるくらいの硬度でないと オサムシが潜れないはず。
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この条件に合う朽木を探しますが、 なかなか良いものは見つかりません。 この場所の朽木は硬いものが多く、 たまに朽ちすぎて軟らかすぎるものがあるくらいです。
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ナタは使わず、軍手を着用して崩せそうな朽木を割っていきます。 しかし、ムカデ・クモは出てくるものの、 昆虫が出ない。こんなはずでは・・・。
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何本目かの朽木を崩した時、やっと、 ゴミムシの一種が出現。 「きっとオサムシもいるはずだ」 と、根拠のないことを考えつつ、 朽木を探しては崩していると、
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なにやら黒くてゴミムシよりはるかに大きな虫が目の前に現れました。
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アカガネオサムシを一回り小さくして、上翅の彫りをやや浅くした感じのオサムシ。 エサキでもルイスでもクロナガ系でもない、 きっとこれが、
ホソアカガネオサムシ
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来た甲斐がありました。
ちなみに、入っていた朽木がこれです。 根元だけが30cmほど残っている赤腐れ材で、手で楽々崩せます。 北東向きの面の、←の部分に成虫がしがみついています。
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目標の種は採れたので、後は他の虫も探索します。
立ち枯れの根元を見ると、 おなじみのルリクワガタ類の産卵マーク。 立ち枯れなら通常ならルリクワガタが入っています。 削ってみると、
まず幼虫。
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次に、
成虫も出現。しかし、腹が赤い??
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センチコガネみたいな色合いの コルリクワガタでした。こんなこともあるんですね。
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少し場所を移動するとミズナラの太くて軟らかそうな倒木がありました。
さっそく手で崩してみると、
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今度は黒いオサムシ。
かなり小さい、クロナガ系オサムシ。 この後、この倒木からはいくつか出てきました。
軟らかいので部屋も作りやすいようです。
土のように朽ちた部分からも。
さらにコメツキも(種名不明)。
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さらに先へ進むと、それまでミズナラ主体だった林が シラカンバなどカンバ類が主体の林へ変わっていきました。
立ち枯れは、数え切れないくらい。 シーズンに来ればツマキトラカミキリがいるはず。
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ここまで来ると、地面も材も凍結していて採集もままならないので引き返すことに。
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朽木崩しだけではとりにくいオサムシもいるので 崖崩しにも挑戦してみます。
山だとなかなかよい崖はなく、 こんな感じの斜面くらいしか見つかりませんでした。
掘ってみたのですが、何も出ず。 エサキオサムシが出て欲しかったのですが・・・。
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日当たりが良い場所で一休みしていると、 倒木などに静止するアブが目に留まりました。
腹部がフサフサの毛に覆われていて、 いかにも寒い時期に活動する虫という感じがします。 まだこの仲間はあまり採ったことないので 素手で採集を試みます。
こんな虫です。 ヒゲボソムシヒキの仲間。 大型で毛が黄色のものと、小型で毛が銀白色のものがいました。 寒いので反応・動きは鈍いのですが、捕獲成功率は50%ほど。
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だんだん日も傾いてきたので、ハリギリやシラカンバなどの材を切って幼虫を確認してリュックに詰め 下山開始です。
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途中、ボロボロになって土と一体化しようとしていた倒木に 手をかけたら大きく割れて、
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エサキオサムシが出現。 崖掘りでは出ませんでしたが、最後の最後に出ました。 ちなみに、当地初採集。
今回は紅葉を楽しみつつ、 オサムシも目的の種を含めて3種採れました。 朽木に潜っているはずの他の虫、 特にスズメバチが1匹も見つからなかったことは意外でした。 また来年、活動している姿を見てみたいものです。
夕闇につつまれる氷川の集落。 この景色を見るのは、おそらく今年最後です。