狭山オサムシ掘り

2006.Feb.4

今年も始まった研究室連続来室記録、前日で31日目でした。 昨日は卒論発表会&懇親会で、研究室の恒温室になんとか宿泊。

ここは25℃に管理されているのは地上1m以上で、床は冷たいのです。 エアポンプや扇風機、3分おきに稼動するドライヤーの音がうるさいのです。 いろんな場所から腐敗臭が発生して部屋中に充満しているのです。 ケージから脱走したユスリカやウンカが飛び回っているのです。 でもここしか寝る場所はないから仕方ないのです。

そして6時半になんとか目覚めました。 疲れているけど、せっかく野外に出られる貴重な日を無駄にはできない。 2週間前から決めていた今日の狙いは、狭山のクロカタビロオサムシ。 おそらく氷点下である屋外へ出て、北を目指して自転車をこぎ進めた。


まずは、昨日発表会の直前に購入した新しい自転車に乗り換えるため 農工大府中キャンパスを目指す。

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朝日と圃場

ここで、新車に乗り換えです。 目的地までの時間を節約するため、ギアを装備した自転車で 府中街道をひたすら北上します。

八坂駅前のコンビニで朝食を食べ、再び自転車を走らせる。

とりあえず、狭山には到着しました。

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マツの立ち枯れがあちこちで目立ちます。 ポイントの目星はつけてあるのですが、 途中によい崖がないか探しながら進みます。

かなりポイントに近づいた頃、 ガードレール脇に小規模な崖を発見。 自転車を止めて近寄ってみることに。

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マツの切り株の根元部分が崩れて 20cmほどの段差ができています。 スコップを取り出して崩してみます。

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いきなり、トカゲが出てきました。 入っていた穴に戻して、その脇を崩してみると

fake060204.jpg

黒い物体が目の前に落下しました。 これってもしかして・・・

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これってもしかしてクロカタビロか?

こんなにあっけなく採れていいものか?  大喜びして、しばし写真撮影することに。

腹側からの写真にある程度満足したあと、 手にとってみると

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あれ、緑色・・・。 これって、農工大にいくらでもいるアオオサムシですよね。 これをクロカタビロと見誤るとは、なんという不覚。

しかし、ここからアオオサ地獄が始まったのです。

さらにポイント付近に近づき、脇道にまたもや崖を発見。

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コケが生えていて、その下が浮いている。 これは、オサムシがもぐりこむには好都合のはず。 で、一発目は手ではがしてみると、

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見事、アオオサムシ出現。 しかし、追加は得られず。

ちょっと歩いて移動して、高さ20cmくらいの崖を崩す。 ムカデやハサミムシなどとともに ここでもアオオサムシを5匹ほど掘り出す。 ここにはクロカタビロはいないとみて、また移動。

とりあえず、ポイントとして目星をつけていた場所に到着しました。 自転車を止めて歩きながら崖や小規模な丘を見つけて掘ってみますが、 出てくるのはことごとくアオオサムシ。

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だんだん掘るのに慣れてきて、越冬している部屋の形を保ったまま 発掘できるようになっていく・・・・

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秋に穴を掘って潜っていく様子を見てみたいものです。

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崖らしき崖は、実はそんなにあるわけではないので、 こんな丘みたいな場所を掘ることが多いです。

ここでは、実にいろんな虫が発掘されました。

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ナミハナムグリ

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マルハナバチの一種

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セミの幼虫

このままでは何しに来たのかわからない。 先日、狭山でクロカタビロ掘りに成功した昆研の後輩Kに メールで採集状況を尋ねることに。

私「採集場所の土質、落ち葉による被覆の有無を教えて」

K「今、A(後輩)と一緒に向かっています」

私「○○○○の近くにいる」

数分後

K「今○○○○にいます」

私「では今から行く」

荷物をまとめて移動しようとした瞬間にK達が私の所へ到着。 つまり、採集ポイントと私が目星をつけた場所は同じだったということが判明。

K「(丘を指さして)ここにいました」

私「そこはちょっとだけ掘ったのに・・・」

とにかく、ここにいることがわかったので掘り続けることに。

少し掘ってみると、何やら大きな虫が転がり落ちてきました。

私「え、これは・・・・」

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チャイロスズメバチ女王

スズメバチの仲間では稀な種類として知られているものです。 昨年の奥多摩町での初遭遇以来、2度目です。 こんな場所で、しかもオサ掘りで採れてしまうとは。 クロカタビロオサムシが採れなくても、 そんなことはどうでもよくなるほどの虫です。

私(Kに向かって)「チャイロスズメ出てきた」

K「あ、そうですか」

あまり興味なさそうでした。

・・・

一同なかなか掘り出せないところで、私の目の前に黒い物体が転げ落ちました。

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この時点で30個体ほどアオオサを見ていたのですが、 今までとは明らかに違う、この丸い体型

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クロカタビロオサムシ

やっと、出会うことができました。

その後、KもAも無事にクロカタビロを掘り出す。 さらに追加を狙いましたが、あまり密度は高くないようです。

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こんな感じの木の根の下の傾斜に

kurokatab060204.jpg

丸い部屋を作って越冬しています。

数匹掘り出したところで、場所移動することに。 採りすぎたアオオサの多くを埋め戻して、 別の崖を探索。 しかし、見た感じでは採れる気配ゼロなので私は竹割りなどをしてました。 後輩たちは掘ってましたが何も出てこなかったようです。

一応目的は達成でき、寒さで体力消耗が激しいので帰途につきました。

で、府中キャンパスに寄って自転車を乗り換えて 虫の世話をするため水田に戻りました。


2週間ほど採集を自粛していたため、 運がたまっていたのでしょう。 合計でアオオサムシは30個体ほど掘り出してしまいましたが、 クロカタビロオサムシも無事に採れて、 チャイロスズメバチという思わぬ副産物を得ることができました。

アオオサしか採れずあきらめかけていた私に採集方法を伝授してくれた後輩Kに感謝しております。

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