富士山コブ探し

2007.Sep.9

9月に入り、奥多摩でも秋のカミキリ採集を始める時期になりました。 しかし、普段でも結構危険な場所であることに加え、 今週は台風の爪痕が大きい様子が各HP・掲示板で伝えられています。 舗装道路はある程度大丈夫なようですが、 林道はどうなっているかわかりません。

そこで、掲示板でもお馴染みのしまちゃんさんからの誘いを受け、 富士山方面へコブ叩きに行くことにしました。


朝5時半に本町水田で待ち合わせをして、 高速道路を快調に走って一気に第一目的地へ。

まずはフジコブヤハズカミキリを探します。

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適当な場所に車を停めて、朝日が差し込む林内へ。

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林床にはイチゴ類(クマイチゴ、モミジイチゴ、ウラジロイチゴ)が生えてます。 まだ少し時期が早いのか、枯葉はわずかしかついていません。

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ヤマブドウもまだ青々としています。 叩く場所はあまりなさそうなので 二人ともルッキングで探すことにします。

ずいぶん長い間見つからなかったのですが、 ようやく最初の1匹を発見。

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ウリハダカエデ?の枯葉に止まっていました。 写真を撮ったあと、しまちゃんさんに譲ります。

その後もしばらく探し続けましたが、 結局この1匹だけだったので場所を移動して再び探索を始めます。

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イチゴの藪を目指して歩いていきます。 枯葉は各株に1~2枚程度しかついていないので、 そのわずかな枯葉をじっくり見ていきます。

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枝の途中から枯れているモミジイチゴ

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おや、これは・・・

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やっぱり、ここにいましたか。

こうなるとイチゴ類に眼が行きがちですが、 その他の広葉樹も要チェック。

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たとえば、こんな風に低い位置にある枯葉。

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回り込んでみると、そこにはフジコブの姿が。

ここまでで2♀を得たので、♂を求めて探し回りますがなかなか見つかりません。 だいぶ歩き回った頃、やっと発見。

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どこにいるか、わかりますよね?

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窪みにうまく体を潜り込ませていますが、 長い触角が飛び出ていました。 かなり小さい♂個体です。

これで♂♀揃ったので、しまちゃんさんを探しに道路へ出てみます。

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ただ移動するだけではもったいないので、 もちろん側溝をチェックしながら進みます。

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オオスジコガネ

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ミヤマクワガタ♂

この2匹が得られました。 なお、ミヤマクワガタは金色の微毛がきれいに生え揃っていて、 まるで今頃野外に出てきたような感じでした。

しまちゃんさんと再会、「フジコブは満足した」とのこと。 住人多数の優良物件を見つけたそうです。

「結局、叩きでは採れなかった」

良い眼を持っていれば網なんて要らないですね。

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天気がやや悪くなってきたので 第2目的地へ移動することにしました。

・・

かなり長い時間をかけて、第2目的地に到着。 今度はセダカコブヤハズカミキリを狙います。 事前情報を得ているので、期待が高まります。 車を停めて、さっそく探索を開始します。

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植林と広葉樹林が交互に出現する林道。 叩く場所がほとんど見当たらず、距離だけをどんどん稼いでいきます。

歩くだけでは何も起きないので、適当に叩いてみると、

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意外にも、フジコブカミキリ♂が落ちてきました。

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叩いたのはこのモミジイチゴ。 よく見ると奥の方に枯葉がついていました。

これが、本日最後のコブになろうとは・・・。

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あまりに叩く場所がないので、 ちょっと高い位置にあるヤマブドウを叩いてみます。

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ホソカミキリ

まだ野外で見られるとは・・・。

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トガリシロオビサビカミキリ

私の場合、野外で見るのは少ないです。

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ドロハマキチョッキリ

上翅に赤い紋が見えることから、かつてはベニホシハマキチョッキリと呼ばれていました

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ササ藪

セダカコブヤハズカミキリならこの環境だと思った場所でも 結局みつけることはできませんでした。

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この場所で飛翔していたオニクワガタ♂。 先日奥多摩で見つけましたが、やはりかっこいいです。

結局、フジコブ1匹のみで林道の入り口まで延々戻り、昼食。

さて、この後どうしようかというところで 事前情報をもう一度確認してみます。 すると、どうやら反対方向の林道に入っていたことが判明。

ということで、事前情報の場所へ移動することに。

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今度は、最初から広葉樹林で湿度も高め。 なかなか良い環境にも見えます。

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しかし、林床はどこもかしこも鮮やかな緑色。 台風のすごさを思い知ります。

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枯葉つきの枯枝はどこかに吹き飛ばされて、 かわりに緑の葉がつく枝が無数に落ちています。

当然、こんなところを叩いてもセダカは落ちるはずもなく・・・。 先行者もいたのですがダメだったようです。 カミキリは1個体も見ることはありませんでした。 事前情報のエリアを確認して、やむなく帰ることにしました。


台風の影響と、時期がちょっと早かったこともあり、 事前情報があったにもかかわらず苦戦を強いられる結果となりました。

でも、目視でフジコブを探すのはビーティング以上に周囲の微環境にまで 注意を払うため、コブヤハズ探しの訓練には最適だと思います。 あと1~2週間後には、台風が残した天然のトラップにより コブ叩きはとても楽しめることでしょう。

最後になりましたが、富士山一周を含む長距離を運転してくださった しまちゃんさん、どうもありがとうございました。

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