2007.Mar.21
今日は春分の日。 東京都心のソメイヨシノも昨日開花宣言が出されましたが、 今日も穏やかに晴れて暖かい日になりそうです。
ソメイヨシノの開花に合わせて出てくるのが スギカミキリです。 昨年は川崎市でやっと見つけることができましたが、 今年は東京都産を撮ってみたいと思い、 町田市の里山へ行ってきました。
早朝、電車とバスを乗り継いで 町田市某所の里山へ。 実はこの場所、野外調査の候補地として 昨年訪れたことがあります。
谷戸には水田ではなく畑が広がり、 背後の山は落葉広葉樹もしくはスギ・ヒノキの植林です。
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とりあえず、スギカミキリを探すべく あちこち歩き回りますが、どこでどう間違えたのか、 気づいたら山の中へ深く入り込んでいました。
ヒノキの植林です。 幸いにも私は花粉症を発症していないので こんな場所でも平気で歩き回れます。
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林床に生えていたキジョラン幼木。 食痕があるということは、
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アサギマダラ幼虫
やはりいました。 この辺りが幼虫越冬の北限だというのを 何かで読んだ記憶があります。
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しかし、薄暗い森の中では これといって採れるものはなく、 里へ降りるべく道を探して歩き回ります。
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途中、針葉樹(おそらくモミ)の倒木を発見
根返りを起こしています。
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これを見て私の頭にひらめいたこと
「ここ、オサムシ潜っているのでは?」
補足:私が日頃考えていたこと
オサ掘りでは一般に、人工的な崖が狙い目というけれど、そもそも人間がいなかった時はどうしていたんだろう? きっと、自然に出来る崖のようなものやちょっとした段差に潜り込んで越冬していたんだろうな。 そもそも「根が適度に入った崖を好む」というのは、本来は根返りに潜っていたことの名残と考えたらどうだろう? 奥多摩のフィールドでは人工的な崖はまず存在しないのに、エサキオサムシはわりといるみたい。 そこでは定期的に根返りが発生するから、これを越冬に利用することは十分考えられる。 ただ、冬季は凍結に阻まれて調査できないから、秋にやっておくべきだったな・・・。
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とにかく、ピッケルを出して、掘ってみます。
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エサキオサムシ
10発目くらいで、ひらめきの通り出てきました。 やはりこんな所にも潜るんですね。
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この後、もう1匹だけ出てきました。 ピッケルをしまって、再び、里を目指して降ります。
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とりあえず里に下りたはいいものの、 スギカミキリが好む風通しの良い場所に生えるスギ・ヒノキは なかなか見つからず、あちこち放浪します。
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途中、道路脇の廃材置き場の壁に ブドウ類のツルを発見。 エビヅルのようですが、かなり大きな株で 枝もかなり広範囲に伸びています。 まわりはわりと良さそうな里山環境なので、アレがいるはずと、目を凝らします。
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ありました、通称ブドウ虫、 ブドウスカシバorムラサキスカシバの虫エイです。
割るとこの通り幼虫が出てきます。 幼虫で越冬し、5月頃に蛹化・羽化するようです。 ある程度採集して、先を急ぎます。
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別の谷戸を見つけ、しばらく歩くと菜の花が道端に咲いていました。 なにやら虫が結構いるのでここでしばらく粘ります。
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ビロウドツリアブ
春を告げる双翅目です。
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シマハナアブ
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ハナアブ(ナミハナアブ)
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ハナアブの一種
相当用心深く何度も逃げられましたが、 しばらくするとまた戻ってくるので待ち伏せして撮影&採集。
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チョウも何種か見られました。
ムラサキシジミ
越冬明けで日向ぼっこしていました。
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ヤマトシジミ
暖かくなって羽化してきたようです。
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このほかに、テングチョウ、キタテハ、クジャクチョウなどがいました。
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谷戸の奥まで行くと、川が二手に分かれていました。 片方は水がしっかり流れていますが、もう片方は底がわずかに湿る程度の枯れ沢です。
これを見て、またもひらめきます。
「ここ、オサムシ潜っているのでは?」
補足:私が日頃考えていたこと
(前略)どこかのホームページや本で「自然状態では斜面の水が流れた跡に潜っていることがある」というのを見た気がする。 確かに、人工的な崖に近いし、植物の根も適度に入っていそうだから良さそうかもしれない。 今度、枯れ沢見つけたら試してみよう。
再び、ピッケルを取り出して削ってみます。
近寄るとこんな感じ。 日当たりはそこそこありますが 触ると適度な湿度があり、ひんやりと冷たいです。
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エサキオサムシ
そして、再びひらめき通りに出てきました。
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ここではわりと多くの個体が出てきて、 このように運よく越冬窩に入った個体も撮影できました。
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そろそろ時間なので、バス停に引き揚げます。
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この後、帰りの電車でふと思いついて 稲城市某所で途中下車したのですが、結果は省略。
風も弱く穏やかな一日で 菜の花では多くのハナアブを見て、春らしい気分になりました。
でも、オサ掘りしたり虫エイ探ししたりと、 どちらかといえば冬らしい採集をした一日でした。 東京都心でソメイヨシノが開花しても、 多摩地域での春本番はもう少し先のようです。