北関東マイマイカブリ採集

2007.Jan.14

河川敷に行って林を探索するも、 倒木は乾燥してカチコチで良い朽木がなく、 崖を掘って少数を得る。 多摩川では毎回こんな感じで マイマイカブリを採集してきました。

なので、朽木や部分枯れの中で 団子になって集団越冬している光景は、 噂には聞きますがなかなか信じがたいものでした。

「百聞は一見に如かず」ということで、 集団越冬を一目見るためkamikiri_2005さんとともに 北関東まで行くことにしました。


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電車を乗り継ぎ、駅からは徒歩。 関東で最大級の湿地に来ました。 天気も良く遠くの山々もはっきり見えます。

湿地対策として長靴を履いて、 広大な河川敷に点在するヤナギ林に突入し、 良さそうな朽木・部分枯れなどを探します。 早朝で気温は低いですが、 風は穏やかで病み上がりの身にも やさしい気象条件です。 kamikiri_2005さんに採集講義を受けつつ 探索を進めます。

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最初に見つけたのはフジがかなり絡まったヤナギの立ち枯れ。 付近に落ちている朽木はまだ凍っていますが、 これは大丈夫そうです。

しかし、崩してみると乾燥が厳しく、 虫はほとんど出てきませんでした。

ここからしばらく朽木を崩したり、 立ち枯れを探したりしましたが、凍っている材が多くてなかなか虫が出てきません。

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しばらく歩いていくと、 朽木が溜まっている場所が見つかりました。 ここも乾燥がきつそうですが、一番湿っていそうな材を削ってみます。

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まず手ではがしたらコカブトムシが出現。 材から出てきたのは初めてです。

そして

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目的のマイマイカブリが出現。 丸い部屋を作ってその中で越冬していました。

kamikiri_2005さんいわく、 これは2年目の個体だそうです。 比較的きれいな新成虫とは違って 上翅が泥まみれで体も黒っぽいそうです。

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材割り採集ではおなじみのアオゴミムシの集団越冬。 下にはヘッピリ虫で有名なオオホソクビゴミムシ。 久しぶりにあの放屁そっくりの音を聞きました。

ここで二人とも何匹かマイマイカブリを得て、 キイロスズメバチ女王なども確保しました。

さらに良い場所を求めて歩きますが、 なかなか良い材は見つかりません。

・・

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途中、かなり乾燥した丸太から出てきたアカコメツキの一種。 現物はとても鮮やかな赤でした。

昼食後、kamikiri_2005さんが一度訪れたことがあるエリアに到着。 当時の記憶を頼りにあちこち探します。

K「あの部分枯れにいそうだな」

G「じゃあ登ってみるか」

ということで、一抱えもありそうなヤナギを ちょっとだけ登って部分枯れに手をかけると、 積もった泥のすぐ下から黒っぽいマイマイカブリが1匹出てきました。 私は今までこんな高くて乾燥した場所からは 見つけたことがないので、信じられないです(写真は撮り忘れました)。

少し場所を移動すると、 良さそうなヤナギの洞がありました。手で崩してみると、

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アカガネオサムシ

上と下に2匹、ペアで潜り込んでいました。 アカガネオサムシを洞で採るのは初めての経験です。 でも、マイマイカブリはいないという不思議な洞でした。

そこからさらに移動すると、遠くにクヌギらしき立ち枯れ2本を発見。 藪をかきわけて進み、まずは近い方の立ち枯れに到着。

なにげなく樹皮をはがす

(後になって思えば、無意識のうちに太陽と反対側でちょっと樹皮が浮いた場所を選んでいたらしい)

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空洞が現れ、中には甲虫の上翅が見えます。 空洞の下側はクワガタの食痕です。

慎重に崩すと、3、4匹のマイマイカブリが入っていました。 多摩川では1匹ずつ採るのが私としては常識だったので、非常に驚きました。

この立ち枯れではここ以外には入っていなさそうなので、 もうひとつの立ち枯れへ。

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高さ2mくらいのクヌギの立ち枯れです。 まずは樹皮をはがしていくと、kamikiri_2005さんがマイマイカブリを1匹発見。 さらに、私がはがした場所からアカガネオサムシを発見。 こんな乾燥した場所にも入ることもあるんだと驚きます。

そして、「その時」はついにやってきました。 立ち枯れの上部に手をかけて材の塊をはがしてみると

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マイマイカブリが団子状になって潜んでいました。 暴いた衝撃で2、3匹落ちた状態での撮影です。

心の声「こんなにたくさん、一箇所に固まっているなんて・・・」

毒ビンを持ってきてもらって、落ちた個体を放り込んでから マイマイカブリの塊をわしづかみにします。 取り損ねた個体が1匹いたので脚をつかんで持ち上げると、もう1匹釣りあがってきました。

2ケタには届かないと思っていましたが、あとで数えてみたら11匹、 こんな光景は初めてだったのでとても興奮しました。

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生け捕りにした個体

多摩川の個体にも青いのは出ますが、 それよりさらに青みが強い個体です。

これだけ採れればもう満足ということで、 昼食時ですが帰路に着きました。


今回は良い立ち枯れを見つけるまでは時間がかかりましたが、 見たかったマイマイカブリの集団越冬を発見できました。 あの程度の個体数はまだまだ序の口だそうですが、 今まで単独越冬しか見たことがなかった私にとって、 あの程度の個体数でもかなり衝撃的でした。

あのような集団越冬を最初に見ていたら、 多摩川のように崖を掘って採集することを果たして思いついただろうか?

崖掘りの他に立ち枯れ・部分枯れ採集を経験し、 採集技術が少し上がった一日でした。

最後になりましたが、 同行して採集方法などを教えてくれたkamikiri_2005さん、どうもありがとうございました。

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