奥多摩:新緑の季節

2007.Apr.28

奥多摩でもいよいよ新緑の季節を迎えました。カエデ、ブナ、ミズナラなど、さまざまな広葉樹が順番に若葉を開き、山も谷も日を追うごとに緑に覆われていきます。

前日の金曜セミナー+二次会に参加して、楽しいひとときを過ごしました。終電で本町水田に戻る途中、思ったこと。

「実験繁忙期直前に、もう一度、あのフィールドに行ってみたい!」

本町水田で寝袋に入り意識を失ったのが1時半ごろ。気づいた時には、長竿などを装備して始発電車に乗っている自分がいました。


2便目のバスに乗って、いつもの場所へ。黄金週間の初日なのに、人は非常に少ないです。なぜかというと、

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このような天気だから。写真には写っていませんが、小雨が降っています。

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気温は、8℃。暖かい方です。

まわりの様子を見て季節の進み具合を確認すると

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ヤマブキはいたるところで咲いており

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カエデも、満開~咲き始めまで揃っています。晴れていれば、先週のような楽しいカエデ掬いができたのでしょうが、仕方ありません。とりあえず、電車の中で思い描いていた山登りは止めにして、林道周辺を重点的に探索することにします。

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とりあえずカエデの花を掬ってみると、小型の昆虫はかなり多いです。

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カミキリはヒナルリハナがかろうじて1匹のみ。だんだん雨もひどくなるにつれて、どんなに小さい虫でも採って帰ろうという気になります。

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コバチの一種

その気持ちが究極になると、こんなのにも手が出ます。太い触角、緑色に光る胴体、縞模様の翅。これが体長2cmくらいあったら人々のハチ観は大きく変わったに違いありません。

もっと何か採集ポイントになりそうな場所はないかと歩き回ってみると、

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土場を発見。ヒノキのようです。ヒメスギカミキリやスギカミキリでもいないかなと5歩くらい離れた場所から何気なく眺めていると、一瞬、我が眼を疑う光景が・・・。

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ビャクシンカミキリ

夜行性のはずなので、逃げ遅れた個体なのでしょう。ここではこの時期に活動するんですね。それにしても、こんな場所で出会うとは・・・。

ビャクシンはともかく、死骸1体しか得ていないスギを求めて丸太を隅々まで見ましたが、結局見つからず。

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ヒメスギカミキリ1匹と、ビャクシンがもう1♀採れただけ。

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スギカミキリ幼虫の食痕はあるのでどこかに成虫もいるはずですが・・・。

そして、丸太探索が終了する頃、雨は上がって晴れてきました。

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時間帯はまだ早いため、これから気温がだいぶ上がりそうです。まさに、カエデ掬いにとって絶好の条件が揃いました。

・・

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カエデは、いたるところにあります。

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日向もあれば、日陰もあります。採集者は他にいないようなので、良さそうな場所を選んで、掬い放題です。

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何度も何度も掬って、ドキドキしながら網の中を覗きます。

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Pidonia(ヒメハナカミキリの仲間)の♀

状況からすると、ムネアカヨコモンヒメハナ?、ニセヨコモンヒメハナ?

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ダイミョウコメツキ

この後、飛び去りました・・・。

他にも、ハナアブがいろいろ入るので、しばらく写真はお休みにして採集に専念します。

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一番多いカミキリは、このヒナルリハナカミキリ。青系、緑系、褐色系、紫系の個体がいました。

いろんな色のヒナルリハナがいると分かってから、1匹ずつ色を確認してはリリースor確保を繰り返していると、ある時、体型が明らかに違う個体が見つかりました。

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ミヤマルリハナカミキリ

体がより細長く、複眼が大きく飛び出ています。奥多摩では自己初採集です。

なお、ヒゲナガコバネ系は相性の悪さにより、かすりもしませんでした(当地では過去に一度、ホソツヤヒゲナガコバネを偶然採集したのみ)。

ハナアブでは体長10mmで腹部がくびれている種類や、ヒラタアブの仲間が数種類採れましたが、一番うれしかったのはこれです。

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どこがいいのかというと、

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腹部背面中央部分にあるこの赤い紋。名前は、よくわかりません。

昼頃になると、いつものように風が吹き始めました。これ以上やってもあまり成果はなさそうなので帰ることにします。

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帰り道、道路脇にはキクが植えられています。この時期なら、アレがいるはず。

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キクスイカミキリ

やはりいました。

そして、ふと横を見ると、

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さんざん探していたスギカミキリ。しかし、またも死骸・・・。

今度のは脚と触角が揃っているので、丁寧にはがして持ち帰ります。生体は来年の楽しみに残しておくことにします。


これで夏まで奥多摩には来られないため、春限定のカミキリを多数採っておきたかったのですが、なかなか一度には採れないものですね。

今回のミヤマルリハナで、また1種追加しました。あとは、苦手のヒゲナガコバネ系、カエデノヘリグロハナ、エゾトラ、ヤマトシロオビトラ、ヒラヤマコブハナなど、夢は膨らみますが、それはまた来年のお楽しみとしておきます。

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