2007.July.31
今年の7月は日照不足により作物の生育が遅れていますが、昨年から目をつけていた秘密のノリウツギも一向に花が咲きません。なかなか良いポジションに生えているため、奥多摩では得がたいカミキリムシがきっと飛んでくると期待を膨らませること、はや3週間。今週はさすがに咲いているだろうと、学生の特権「平日採集」を行使して、始発電車に乗り込みました。
バス停を降りた時点で、天気は雨に近い曇り。でも、雲はものすごく速く動いているので、この後晴れることを期待しつつ、歩き始めます。
気温は、17℃、やや低めです。これからしばらく、舗装道路を歩きます。
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林道に入る直前、急に空が明るくなり、青空が広がっていきました。これなら、虫は動き始めるはずです。
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森の中にも光が降り注ぎます。一刻も早く目的地に着きたいと、登山者は誰もいない森の中を急いで歩きます。
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しばらくして、
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右斜め前方30mほど先で、大きな黒い物体が動く・・・。
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一瞬で、それが何かを認識し、そして体が硬直しました。
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それは、クマの子供。
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普段からクマの新しい痕跡はいたるところにあり、2週間ほど前にも目撃情報があったことからいずれ遭遇するだろうと覚悟はしていましたが、いざその時になると怖いものです。
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私の存在に気づいたらしく、一目散に逃げていきました。
画像中央の倒木の辺りに子熊がいました。
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周囲を見渡すと、幸いにも親の姿はないようです。
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手を叩いて大きな音を出し、クマが十分離れた頃を見計らって、歩き始めます。
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林内には霧が立ち込める場所もあり、そんな場所ではこんな光景が見られます。
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クマに自分の存在をアピールしつつ歩き続けて、ようやく、秘密のノリウツギに到着。
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あれが、ノリウツギです。原生林の中にできた広いギャップのほぼ中央にヤマブドウと競争しながら生えています。
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気になるのは開花状況。
7月8日 蕾
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7月21日 まだ蕾
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そして、今日の状況は、
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7月31日 開花
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一花房だけでなく、多くの花房で咲いています。
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昨年、散ってしまった花を見た時に想い描いた光景が、今、まさに目の前にあります。
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あいにく雲が太陽を隠してしまいましたが、まだ時間は十分あります。他に採集者が来ることもなく、花を独占できる状況です。時間は8時半、まだかなり早いですが、試しに、少し掬ってみます。
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キヌツヤハナカミキリのペア
キイロトラカミキリ
ヨコモンヒメハナカミキリの一種の♀
その他、小型のハナバチ多数
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ノリウツギのすぐ近くには、リョウブもあります。
しかし、まだ咲き始め。ダメ元で掬ってみます。
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ニョウホウホソハナカミキリ
ヨツスジハナカミキリ
虫の数は極端に少なく、これ以上掬う価値はないと判断。空は再び晴れてきたので、ノリウツギの元へ戻ります。
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真夏の日差しがノリウツギを照らします。
気温もグングン上がり、カミキリムシが次々と集まり始めました。
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さあ、誰もいない原生林で、思う存分、この夏一番の花掬いの始まりです。
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ヤツボシハナカミキリ
奥多摩でよく見る完全黒化型。
フタスジハナカミキリ
奥多摩自己初、東京都2例目。
カンボウトラカミキリ
この場所ではもうお馴染み。
ニンフホソハナカミキリ
蚊のように飛ぶ姿がよく目立ちます。
ヒメハチモドキハナアブ
アシナガバチそっくりの体型がナイス。
トゲヒゲトラカミキリ
春のカエデ掬いでおなじみですがまだ生き残ってます。
フタコブルリハナカミキリ
奥多摩自己初、いい色しています。
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途中で、雲が出てきて太陽を覆い、虫の飛来がしばらく途絶えたので、イケマの花を見たりして時間をつぶします。
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ヒメトラハナムグリ
平地でもよく見ます。
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この個体を撮影している時、イケマの花の上方の葉の上に何かがいるのを周辺視野がとらえる。
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ヌバタマハナカミキリ
アカムネハナカミキリ採集の時以来の再会です。奥多摩自己初。
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そうしているうちに、雲が晴れて再び虫が飛来してきました。
飛来して、さっそく食事を始めるフタコブルリハナカミキリ
生態写真のチャンスだったのですが残念ながら気配を察して落下しました。
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生態写真もいいのですが、今年はとりあえず採れるだけ採ろうということで花掬いを再会します。
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ホンドアオバホソハナカミキリ
一度にあまり多くは採れません。
ヒメアカハナカミキリ
奥多摩自己初。
キスジトラカミキリ
見つけると必ず採集する種類です。
ヒゲジロハナカミキリ
これもあまり多くはありません。
シロトラカミキリ
この時期になるとさすがに少なくなってきます。
アオハナムグリ
アオアシナガハナムグリに代わる最優先ハナムグリ。
エグリトラカミキリ
クロトラカミキリかと一瞬迷いました。
ミドリカミキリ
奥多摩ではなぜか縁がない種類。
ジャコウホソハナカミキリ
奥多摩では2匹目。
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夢中で花を掬っている間に、時間は12時を過ぎてしまいました。名残惜しいですが、もうそろそろ帰る時間です。
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また来年、ここに戻って来れますように・・・。