奥多摩:ハチの巣回収隊

2007.Dec.2

今年も残すところ1ヶ月を過ぎました。山では紅葉も盛りを過ぎ、高いところは完全に冬支度を済ませているようです。野外で活動する昆虫は少なく、山は静まり返っていますが、それは、これまで目星をつけていたスズメバチの巣も同様なはず。このタイミングを見計らって回収するべく、登山は10年ぶりというハチ屋のsundogさんとともに落葉の山を登ります。


朝6時前、本町水田で待ち合わせて、sundogさんの車で奥多摩へ。

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7時半、奥多摩に到着。まだ太陽は山に隠れていて、冷え込みが厳しいです。身支度を整えて、登山開始。

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おなじみの、最初の急登。木々は空に向かってまっすぐ生えることができないほど。久々の登山となるsundogさんは、いきなり体力を削られていきます。

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時々休憩を取りながら登り続けると、いつしか朝日が森に差し込みます。

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周囲の山々は、完全に冬景色。植林だけが色あせた緑色をしています。

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最初の急登を過ぎれば、あとは楽な道です。小道に積もった落葉を踏みしめながら進みます。

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8時50分、最初の目的地に到着。チャイロスズメバチが出入りしていた樹洞です。

巣の回収に先立ち、sundogさんが手を突っ込んで状況確認。チャイロスズメバチはすでに9月で巣が解散し、ハチは1匹も残っていないのでこのようなことができます。

sundog「届きませーん」「(幹を指しながら)ここより上にあるみたいですね」

樹洞が深くて手が届く範囲には巣が見当たらないようです。

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デジカメで樹洞内部を撮影してみました。入り口から50~100cmのところ(マニュアルフォーカスで計測)になにやら白いものが見えます。sundogさんによれば巣の外被かもしれないとのことですが、肝心の巣盤は残っていないようです。

sundog「山ならハチがいなくなるとネズミが入って壊しちゃうからなあ」

ということで、目標の一つをあっけなく断念し、周辺の朽木を崩して越冬女王を探すことに。

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しばらく探すと、黄色いスズメバチを発見。キオビホオナガスズメバチの女王でした。

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入っていたのはこの赤腐れした朽木。日が当たる部分でもいるものなんですね。1匹目はsundogさんに献上。

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その後、もう1匹追加。腹部前半の五角形の黒紋が特徴だそうです。

これ以外、特に何も出てこなかったので、もう一つの目的地へ向かうことにします。

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木々の間から周囲の山々を望みながら緩やかな登り坂を進みます。

目的地周辺に到着しましたが、詳細な位置を忘れてしまったため、目印を探して北斜面を徘徊します。

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しばらくして、ようやく目印を発見。枯枝が4本立っているすぐそばに、クロスズメバチの巣があるはず。

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しかし、落葉をかきわけると穴しか残っていません。他の動物に先に掘られてしまったようです。せっかく、ここまで登ってきたのに・・・。

本日の目標が2つともなくなってしまったので、再び朽木崩しを始めます。

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立ち枯れの表面。朽ち具合、色、日当たり、風通し、空間的配置、その他の要素、これらを感じ取れば、もはや産卵マークの有無は関係なし。

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3,4発目で、ぽっかりと蛹室が空きました。ルリクワガタ♀、かなり黒っぽい個体です。

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しかし、その後は続かず。食痕はあるものの、出てくるのはアカコメツキの一種のみ。

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この夏に楽しませてもらったノリウツギも、完全に落葉してました。また来年の8月が楽しみです。

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ノリウツギから戻ってきたところで、昼食。夏よりも空が広く見えます。

再び探索を続けますが、ハチは見つからず。

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かわりに、アリの巣を割り出して、

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アリヅカコオロギの一種を採集。この仲間としてはかなり大きいです。

日も傾いてきたので、下山しながら良い場所を探すことに。

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途中で見かけた発信機と熊鈴を装備したイヌ。私のカメラケースの臭いをかいで去っていきました。

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途中で見つけためぼしいポイントといえば、この倒木。表面はカチコチだったのですが、

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中は赤腐れでフカフカでした。クロナガオサムシが多数入っていたのは、初めての経験です。

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チャイロスズメバチの巣があった場所へ戻ってきて、再び周囲を探索。この倒木は部分的によい朽ち具合で、

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キオビホオナガスズメバチがいくつか眠っていました。

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さらに、こんなものまで。オレンジ色の上翅を引っ張り出してみると、

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カエデノヘリグロハナカミキリ(自己初)。前胸の黒紋、上翅肩まで届く黒筋。こんな朽木を幼虫が食べるんですね。

結局、キオビホオナガの女王以外は特に成果はなく、下山することにしました。

Genka「夏は花があるけど、冬はなかなか採れないですね」

sundog「まあ、今回私は環境見物が大きいですからね」

帰りは、距離は長く傾斜は緩やか、足に優しいコースで。でも、最後の急斜面だけは変わらず。

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麓では、ハリギリ、カエデなどが最後の輝きを放っていました。


結局、ハチの巣回収作業を目の前で見ることはかなわず、朽木崩しでキオビホオナガスズメバチなどを少々得て、他にはコオロギ、アリ、ルリクワガタなどを持ち帰るなど、当初の計画とはだいぶ違った採集になってしまいました。山での回収作業は、もっと早く来て完全装備で臨まないと難しいのかもしれません。

久々の登山をこなし、行き帰りの車の運転まで難なくこなしてくださったsundogさん、どうもありがとうございました。またチャイロの巣が見つかったら行きましょう。

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お土産のハチミツ(セイヨウミツバチ)。ありがとうございます。

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