六甲山系:ちょっと避暑へ

2008.Sep.7

9月に入っても、まだまだ暑い日は続く。8月最終週で涼しくなった反動で9月に入ってからまた暑くなり、しかも今までになく湿度が高くなったため、もはや昼間は扇風機では対応できない。久々の全休とした昨日は昼前からエアコンの効いた店を巡ってしのいだが、今日は体力も回復したことだし、脚力の維持も兼ねてちょっと山へ涼みに行くとしよう。

それでも、ただ行くだけというのはつまらない。今から36年前、記録に残されている限りでは六甲山系で最後となるマヤサンコブヤハズカミキリが採集された場所へ、足を運んでみることにしよう。


午前9時半、夏の日差しが照りつけて入道雲が湧き始めた。デジタル温室時計の湿度は70%を超え、汗がなかなか蒸発しない。部屋を飛び出して電車に乗り、その後バスに乗って六甲ケーブル駅へ。

今日は窓がない車両に乗った。標高が上がるごとに周りの空気が涼しくなっていくのが感じられる。

「山の上に街がある」

ケーブルカーを降りると、そこには山の尾根筋とは思えない風景が広がる。日向にいると当然ながら暑いので、これから森の中に逃げ込む。

その前に、ちょっと立ち寄った某自然保護系展示施設。展示の最後にひっそりとおいてあったのが、唯一の昆虫系実物展示、一人の小学生が集めた「六甲山の昆虫」という素晴らしい企画。菓子箱にラップを張った懐かしいスタイルの標本箱に散りばめられた虫たちが、特に中高年の視線を釘付けにする・・・かもしれない。

(せっかくの展示なんだから、せめてもう少し良い箱を用意してあげようよ。)

寄り道はここまでにして、さっそく林の中へ入っていくことにする。

アセビを主体とした林で、その下にはササが生えている。

枯葉つき枯枝(伐採枝)もわずかに落ちているが、カラカラに乾燥してて、コブヤハズがいる状況ではない。叩いてみても、コアリガタハネカクシとオサシデムシモドキが落ちるだけ。

少し奥に進むとコナラが混じるようになる。

意図はわからないが、丸太が積み上げられてる箇所もあった。初夏に訪れていれば、セダカやマヤサンが見られたのだろうか。

さらに少し奥に進むと、スギ林が出現。風通しが良くて涼しいんだけど、これでは・・・。

以上、36年前に最後のマヤサンコブヤハズカミキリが採集された場所の現状。秋の枯葉探しではとても見つかる気がしなかったが、皆様はどう感じただろうか。

1ex., 1976.VI.10

その時点では、存在していた。確かなのはそれだけ。

ということで、あとは適当にハイキング。

ちょっと斜面を100mほどあてもなく降りてみて、この山の地盤のもろさを実感する。

コナラの根返り倒木を見つけて、

3ヶ月前の様子を想像してみたりする。(道まで戻るのがちょっとだけ大変だった)

道沿いのササの葉に動く物体を周辺視野で捕らえて、

捕まえてみるとアリバチの一種だったり。(通りがかりの人に解説するのが大変だった)

こんな道沿いをあてもなく叩いてみて、

ハスオビヒゲナガカミキリが2匹落ちてきたり。そういえば、奥多摩でもだいぶ遅い時期に活動していたな・・・。

涼しい林の中の小道を歩いていくうちに、少しずつ摩耶山へと近づいていく。

あと1kmほどで摩耶山というところまで来てしまった。太陽はすっかり隠れてしまって、風が急に強くなり、ときおり雷鳴も轟く。裏六甲方面はすでに雷雨となっていて、摩耶山でも時間の問題だろう。

実は結構危ない状況の中、ヌルデの花が満開になってるのを見つけてしまう。ハナアブがいないかなと眺めていると、


スズキナガハナアブ

キイロスズメバチに混じって登場。大きさが違うのですぐ見分けられるが、単独だとハチか否かちょっと迷う。網を持ってないので素手で勝負しようとするが、射程距離内にはなかなか飛んでこない。縄張りを張っているようで、飛び去っても定期的に戻ってくる。

そうこうしているうちに、とうとう雨が降り出す。路面のアスファルトからは湯気が湧き立ち、一気に涼しくなる。もう、下界も涼しくなった頃だろう。さあ、下山しよう。

今年6月、セダカコブヤハズカミキリ♀に逃げられた場所。未練がましく眺めてみたが、その姿はなかった。

ロープウェーは風と雷で運転中止と読み、ケーブルカー駅まで徒歩で下山。しかし、ケーブルカーも雷のため運転中止。同じケーブルカーでも、高尾山とは大違い。仕方なく、また徒歩で登山口まで降りていった。


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今回は、あくまで避暑と脚力維持が目的。36年間も記録がない幻の六甲山系マヤサンの再発見は、オオトラを採るよりはるかに難しいだろう。さて、どうやって探したら良いものか・・・。

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