盛夏のやんばる

2008.July.26-Aug.2


7月28日(月)

夜明けと同時に目覚め、朝食を食べ、コンタクトレンズを装用。外に出て車の上の蛍光灯を見るが、ツユムシが居残っているくらいで後は散っていた。夜中に雨が降ったらしく、路面は湿り、木の葉は水滴で光輝く。

採集方法は昨日と同じ。道沿いに歩いて、ビーティング&ルッキングを繰り返すだけ。一番虫が落ちてきたハゼノキは後回しにして、先にシマグワを見に行く。昨日のオキナワジャノメカミキリは偶然なのか、必然なのかを見極めるために。

今日も風が強く、枝葉はときおり大きく揺れる。こんな時は不用意に近寄っても虫はあまり逃げないものだ。昨日、オキナワジャノメが静止していた葉を見るが、今日はいない。あれは、やっぱり偶然だったのだろうか・・・。

いないとなると、ここを早く切り上げて、ハゼノキ伐採枝を早く叩きたくなってきた。オキナワキボシの追加だけを狙って、無造作にビーティングをしてみると、一発目で、多量の水滴とともに一匹のカミキリが叩き網にポトリと落ちてきた。


オキナワジャノメカミキリ

まさか、2日連続で、同じ木のほぼ同じ部位で採れてしまうとは。これは、シマグワとこのカミキリには何か関係があるのかもしれない。まだ叩いていない枝をしげしげと眺めてみるが、追加は見つからなかった。明日来て、もしそれでも採れたら、シマグワはきっと・・・・。

(前日の繰り返しになるが、この時点で私の頭の中には、本種の後食植物の情報はまったく存在しない。)

このシマグワは明日も必ず見ることにして、例のハゼノキのもとへ歩いていく。

昨日はハブの恐怖もあって道路側から苦労して叩いたが、今日はガードレールを乗り越えて反対側にまわりこむ。なるべく広い範囲の枯葉を受けるように網を構え、必要以上に枯葉を落とさぬよう力を加減して塩ビ管で軽く叩く。


アヤモンチビカミキリ


オオシマヤハズカミキリ


コブナナフシ


ヒナカマキリ


フタモンサビカミキリ


ヒメニシキキマワリモドキ


カッコウムシの一種

昨日と比べて、網に落ちてくる種類・個体数ともに多い。道路側からはあまりうまく叩けていなかったようだ。

一通り叩いた後で、ヤンバルアワブキの花を目指す。

スコール程度で散るほど弱い花ではないようで、今日もアゲハ類がたくさん舞っている。今日は少し写真を撮ってみることにしよう。


ナガサキアゲハ♂


シロオビアゲハ


リュウキュウアサギマダラ

風が強くてなかなか静止してくれず、思うように撮影できない。シャッターチャンスを狙ってじっとしていると、目の前のガードレールに1匹のアブが止まる。

動きがコガタスズメバチとは明らかに違うのですぐ見分けられる。長竿を手に取り、すばやくネットイン。


オキナワナガハナアブ

やっぱり、大きくてかっこよい。チョウの撮影は中止し、この後しばらく粘って数匹追加採集することができた。

花に来ているコガタスズメバチと、なんとなく色彩が似ている。

昼前になると、照りつける太陽でさすがに疲れてきたので、昨日は足を踏み入れることができなかった登山道へ行ってみることにする。


少し奥に進むと、うっそうとした森が広がっており、いかにもハブがいそう。

拾った枯枝で、足元を叩きながら進む。おそらく射程距離よりも狭い範囲しか叩けていないのだろうが、あくまで気休め、やらないよりマシ。

道路沿いよりもはるかに湿度が高く、木の幹にはキセルガイが多数みられる。風通しが悪いこともあり、汗の噴出量も10倍くらいになり体力を消耗する。新しい倒木でもあれば何か探せると思っていたが、朽ち果てた倒木しかない。ひたすら、歩いていくだけ。

整備された階段の先に頂上が見えてきた。あと一息。

山頂は狭いながらも草原になっていた。山麓と青い海を見ながら、昼食。

このまましばらくボーっとしていると、また雲行きが怪しくなったので急いで下山。今度は間に合わず、叩き網を傘代わりにしてなんとか車に逃げ込む。

またしても午後の伐採枝目視はお預けとなってしまったので、地図を見ながら周辺地域でここぞという場所を選び、新規開拓へ。

目的地手前の道路の交差点の構造がだいぶ食い違ってて迷ったがなんとか到着。地図上では細いながらも立派な道ということになっていたが、実際に来てみると、単なる狭い山道。一体この辺りでどんな測量をしたのかはひとまず置いといて、森の中を歩いていく。

しばらく進むと、電信柱が見えてきた。この道はどうやら維持管理の作業のための道らしい。ちょうど枝切りが行われたようで、かなり新しい枯枝が道端に放置されている。

これは、何かいるだろう。大きすぎるので、枝ごと持ち上げて網の上に持ってきて叩くのが良さそう。はやる気持ちを抑えながら入念にシミュレーションをした後、枝をつかんですばやく網の上に移し、虫を叩き落とす。


オビレカミキリ

色彩は地味だが、非常に特徴的な体形をしている。実は、かなり採りたかった種類。


オキナワビロウドカミキリ
ビロウドカミキリ沖縄亜種)

一瞬、オキナワフトかと思ったが縞々が目立つ触角ですぐに認識した。


オオシマヤハズカミキリ

前2種は1個体ずつだったが、これはたくさんいた。まだまだ模様が綺麗な個体が多い。

この先にも道が続くのかと思いきや、電信柱から10mほどで道は終了。一体、どんな測量を(以下略)。

この後、夕方までだいぶ時間があるので周辺地域を適当に走り回り、風が弱い場所を選んでプチ探索をする。大して成果は得られなかったので、主な虫の写真だけ。


オキナワチョウトンボ

4年前に与那国島で見て以来、2度目。


リュウキュウトビナナフシ♀


リュウキュウトビナナフシ♂

♂は身軽で意外とすばやく飛んでいた。


サビアヤカミキリ

実は初採集。なかなか大型で渋い。

そうこうしているうちに夕方になったので、夕食を食べてから再び山に戻る。

蛍光灯を車の屋根に置き、灯火採集。でも、風が相変わらず強いのであまり期待できない。


リュウキュウドウガネ


タイワンクダマキモドキ

車の上の木ではオオコウモリが実を食べているのが見え、食べかすや糞やボンネットに落ちてきて虫の飛来とまぎらわしい。あまり虫の飛来がよくないので、今夜もはやばやと寝てしまう。

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