奥多摩:サクラ咲く頃

2008.Apr.19

学生時代の最後の奥多摩探索から、はや4週間。神戸での社会人生活から2週間で、はやくも研修で東京に行く機会が訪れました。高尾山の麓で行われた1週間の研修も無事に終了し、神戸に戻る前に、1日だけ自由になる時間ができました。学生時代の思い出の場所に、こんなに早く訪れる機会がめぐってこようとは・・・。

研修終了後、急いで自宅に戻り、採集道具を準備する。奥多摩リアルタイム情報を見ると、ちょうど今、サクラが見頃らしい。実は、この時期に奥多摩を訪れるのは初めてなのだが、サクラが咲いているならば、もうカミキリムシも動いていることだろう。果たして、社会人になっても今までと変わらぬ虫との出会いが待っているのだろうか・・・。


自宅から始発電車に乗り、大学への通学経路を経て、奥多摩を目指す。本町水田からだと7時前には到着していたが、自宅からだと8時前の到着になる。

1週間前の天気予報では「雨」だったのだが、今日はまずまずの天気。バスの発車まで30分ほどあるので、行きつけの店でおにぎりを買い、灯火ポイントで鱗翅目を撮影して時間を潰してから、いつものフィールドへ。

9時前、いつもの集落に到着。集落のあちこちで、サクラが満開となっています。

道沿いにある、なかなか見事なサクラの木

集落内のシャクナゲも満開に。この前まで足音だけだったのに、もうすっかり春が訪れています。

芽吹き寸前の谷筋。植栽のサクラはここでも満開。

気温は13.5℃(9:20)。ちょっと信じられない暖かさです。

だんだん衰えてきた心肺能力が、社会人生活でさらに低下しているため、今日は山登りはせず、なるべく垂直方向の移動を少なくして探索することにします。

適当に歩いていると、土場を発見。新鮮なヒノキ材が山積みになっています。

すぐに、ビャクシンカミキリを発見。東京ではつい最近まで、高尾山で1例のみの幻のカミキリだったのに、もはや普通種になってしまいました。

5月上旬からの発生と思ってましたが、もっと早くから出てくるんですね。

羽化脱出しようとしたものの、上に積まれた丸太に阻まれていた個体。これもビャクシンだろうと思って、つまみあげてみる。

ヒメスギカミキリでした。

さらにルッキングを続けていると、赤い虫が丸太の上を歩いているのが目に入る。これは、もしかして、ヒラヤマコブハナか・・・・。

ベニボタルの一種でした。やはりそう簡単には採れないですね。初めて見る種類で、しかもなかなか綺麗。3匹ほど採集しておきました。

ある程度探索をした後、せっかく天気が良いので、今度は花掬いをしてみます。

カエデのポイントに行ってみたものの、まだ早いようで、さらに歩き回ってみると、川沿いに生えた満開のキブシを発見。日当たりも良好、期待が持てます。

まず入ったのは、ハナアブ。結構たくさんいます。

次は、ヒナルリハナカミキリ。個体数は少なめ。

キバネニセハムシハナカミキリ。これは周辺を適当にスウィーピングしたら入りました。

春先の小型ハナカミキリ類も、動き出しているようです。

このまま花掬いが楽しめると思いきや、雲行きが怪しくなり、風も強くなってきました。

甲虫がほとんど入らなくなったところで、別の採集に切り替えます。

適当に歩き回っていて目に留まったのが、スギの植林地。狙いはもちろん、サクラ咲く頃に出てくるスギカミキリ。

今まで切り株中から死骸を割り出し、路上で轢死体を拾っただけなので、今度こそは生きた姿を拝みたいところ。

林縁を重点的に見ていくと、ヤニが流れる木はそこそこ見つかる。

真新しい脱出孔も発見。これは、すぐ近くに潜んでいるはず。この木を徹底的に探します。


スギカミキリ

大きな樹皮の下に、大きな♀が鎮座

なかなか大きい個体です。1匹だけで満足してしまいました。

さて、この後どうしようか・・・・・。天気も良くないし、アテもないので、周辺を適当に散策することに。

川辺に下りてみました。雪解け水に、前日の雨が加わり、激しい流れになってます。

川辺の石の上に静止するスギタニルリシジミ。春の訪れを感じます。

落ち葉に静止するビロウドツリアブ。これも、春を感じさせる虫です。

さらに、こんな虫までいました。

羽化したばかりのカラスアゲハ♂

風に飛ばされそうになりながらも翅を広げています。ちょっと出てくるのが早すぎるのでは・・・・。

川沿いの斜面に大きな樹洞を持つ木を発見。5月上旬には、ヒラヤマコブハナが出てくるかも・・・。

あと、意外な場所にツゲの群落を発見。昨年秋にニシキキンカメムシ幼虫の死骸を拾った場所と、有名なツゲの自生地との間には、大きな川が流れており、幼虫の行き来はできないはずなので不思議に思っていました。

今回発見した場所は、死体発見現場と同じ岸にある。これは、生息確認に一歩近づいたに違いない。

このあたりで、タイムアップ。5月に羽化するであろうニシキキンカメを想像しながら、バスに乗り込み、つかの間の奥多摩探索は終わりとなりました。


学生時代には訪れることができなかったサクラの季節に初めて訪れたわけですが、スギ・ヒノキにつく旬のカミキリ3種を同時に確認できたことは大きな収穫であり、自分のイメージよりもさらに早くからカミキリシーズンは始まっていることを実感しました。

ヒラヤマコブハナ、フタスジカタビロハナ、セスジヒメハナ、ニシキキンカメ、課題はいろいろありますが、それはまたいずれ機会を逃さずに・・・・。

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