春の訪れ

2009.Apr.11

暦の上では春なのに、いきなり初夏の陽気が続き、夏日を記録したという地域も。昔に比べて季節の推移が早くなっているという印象を多くの人が抱く中、今までの経験を白紙に戻し、新たな傾向をつかむ必要があるのかもしれない。

神戸に来て2年目になるが、当然のごとく季節推移の感覚は身についてるはずもない。関東某所(野外調査)や奥多摩(趣味)をメインフィ-ルドとしてた頃のように、とにかく現地に赴いて足を使って植物の状況を記憶し、自宅周辺の状況とリンクさせることで、自宅に居ながらにして現地の季節推移をイメージできるようになることが大事だろう。

今回は特に狙いの虫も定めず、フィールドの様子を確認するだけ。昨年6月に見つけたフィールドのため、春に訪れるのは今回が初めて。


前日夜は職場の歓迎会があったため、今日はゆっくりと起床。身支度を整え、電車に乗って、いつもの里山へ。

入り口付近にあるカエデ。まだほとんど蕾の状態だった。

前回見つけた伐採地の様子を確かめるべく、脇道を進む。キブシの花が咲いているが、日当たりが悪くハエが少々いるだけ。

水田には水が溜まっており、オタマジャクシの姿が見えた。代掻きが行われる前にはカエルになって上陸できるだろうか。


谷津田から離れて尾根に出る道

息を切らしながら登っていくと、青い光が地面から飛び立つ。

目を凝らしてみると、おなじみの姿が。


ナミハンミョウ

オサムシに近い仲間ということもあり、捕らえると独特の芳香が漂う。


ニワハンミョウ

ナミハンミョウにおされているらしく、個体数は少なかった。

しらばく進むと、伐採地に出る。材はカラカラで、何もいない。初夏になればタマムシには良いかもしれない。

すぐ近くには薪を積んだ小屋もある。これも初夏以降に期待が持てそう。

さらに奥へ進み、未踏の谷へ分け入ると、一番奥にため池があった。


マツモムシ

冬眠から覚めて、活発に動いていた。岸辺ではオツネントンボが盛んに産卵しており、落ち葉を掬ってみるとケシゲンゴロウやキベリヒラタガムシなども見られた。かなり良い立地なので、もしかしたら大型水生昆虫の生存の可能性もありそう。

この後、さらに先へ進もうとしたが進入禁止の看板があったので引き返すことに。

引き返す途中、桜吹雪に遭遇。カメラで切り取るよりも、心に焼き付けることを優先したため、この程度の写真で妥協。

隠れた水田には、レンゲの花が満開。本町水田で種まきして栽培したものの、田植え前の処理に困っていたのを思い出す(ものすごく生長したため分解に時間がかかった)。

元の道に戻り、ヒシが繁茂するため池を目指すが、立ち入り禁止になっており断念。乾燥が激しい尾根道に入り、もうひとつの谷戸を目指す。

昨年、ミドリシジミを採ったハンノキ群落。すでに若葉が展開し始めている。

ミドリシジミの幼虫でもいないかと、目が届く範囲の枝を探してみる。


ヒメクロオトシブミ

結構な個体数がいる。

一見、大きなイモムシの糞に見えるが・・・。


ムシクソハムシ

脚と触角が見える。野外で見るのは初めてかもしれない。

甲虫は見つかるものの、ミドリシジミ幼虫は見つからない。でも、このあたりにいることは間違いないはずなので、採卵のコツをもとに、ちょっと場所を変えることにする。


放棄水田の脇に生える幼木

背後には雑木林がある。

まもなく、不自然につづられた若葉を発見。

慎重に解体してみると、幼虫が出現。

シジミチョウっぽい形をしているので、おそらくミドリシジミだろう。飼育は自信がないので、もっと大きくなってから改めて採りにいくことにしよう。

この後、里山を抜けて、適当に周辺を散策。

ツクシは傘が開いているので、そろそろ終わり。

モンシロチョウに混じってツマキチョウも飛び交う。

ため池ではクサガメ一族が日光浴。アカミミガメが一匹もいないのは驚きだ。

すでにシオカラトンボも羽化してきている。ちょっと早すぎるのでは・・・(後日、シオヤトンボと判明)。

そして、帰り際のこと。

樹洞を発見

「樹種は、、、カエデか。 ん? カエデ・・・」

上を見上げると、満開の花にハチとハエが群がっているのがはっきりと見えた。

時間はすでに15時を回っているが、これは掬っておかねば。


ヒメクロトラカミキリ

昨年、摩耶山で1日かけて採った数を、このひと掬いで軽く上回った。ズマルトラカミキリが混じってないか1匹ずつ確認したが、すべて本種だった。


キバネニセハムシハナカミキリ

神戸では初めてみた。でも、ヒナルリハナカミキリが入らないのはなぜだろう・・・・。

これだけ遅い時間でもいるということは、昼前にはもっといたのだろう。あるいは、遅い時間だからこそいたのか。それはまた、後日確認することにしよう。

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