晩夏の樹液めぐり

2009.Aug.30

8月も残すところ、あと1日。四国ではモミの木で硬いスズメバチが徘徊している絶好の天気。昨年よりもかなり盛り上がっている様子が、ネット上ではうかがえる。それでも、2年連続で有名産地で狙うのはさすがに気が引けた。自分の昆虫採集方針に合わないこともあるのだが、相変わらず不安定な心の影響が大きい。

昨日は一日中部屋に引きこもってしまったので、運動も兼ねて、晩夏の虫の下見をするべく、いつもの里山へ。


10時30分、いつもの場所からスタート。画像ではわかりにくいが、ほぼすべての水田で稲穂が出ている。

田植えが早かったところでは、すでに頭を垂れている。あと2週間もすれば、刈り取りが始まるのだろう。


コバネイナゴ

今年も大量に発生している。稲刈りが終わった後、イナゴ狩りに来るのが楽しみだ。

いつもチェックしているイチジクでは、クワカミキリが健在。実の方は、もう少ししたら食べられそうだ。

林縁には、アサマイチモンジの姿。実は、撮影時はイチモンジチョウにしては違和感を覚えた程度で、帰宅後に調べてみてアサマイチモンジと判明。採集しておけばよかった・・・。

林縁の探索もそこそこに、樹液ポイントへ向かう。

相変わらずメマトイに悩まされながら、いつものクヌギに到着。

オオスズメバチは数が減ったものの、相変わらず常連客。


ハチモドキハナアブ♂

これも数は減ったが、まだまだ見られる。


ノコギリクワガタ♀

樹液に来ているのは初めて見た。


カブトムシ♂

一応、隠れているつもりなのだろう。

根元から梢付近まで眺めてみたが、狙いのハナムグリの姿はなかった。そろそろ発生していると思うのだが、まだ早いのか。生息地に行っても見られる木は限られるという情報もあるので、これまで記憶しているポイントをすべて見回り、樹液の浸出状況を確認することに今日は専念しよう。

以下、樹液めぐりの途中に見つけた虫を順次紹介。

林内の神社のそばにあった、ソヨゴの伐採木。


アオマダラタマムシ

まだ活動しているようだ。

注目しているため池のひとつ。ヒシで覆い尽くされていた。


ヤマトタマムシ

水田の脇にあるハンノキの立ち枯れに来ていた。この虫を見ると、まだまだ夏が続いているような気もする。

水田の脇に生えるネムノキの切り株。

近寄ってみると、カミキリムシの穿孔サインを発見。

ここぞという場所の樹皮を剥がすと、幼虫を発見。

おそらく、アオスジカミキリの幼虫。

まだこの時期なら、成虫もいるはず。頭の中に描いてきた「灯火という人為に影響されない本来の生態」をもとに、探索。

やはり、根元に潜んでいたか。ここでは初採集となる。

ふと横を見ると、見覚えのある斑模様が・・・。

とっさに木の枝を拾って取り押さえると、観念したのか暴れる気配はない。つかんでも咬まれない部位を見定めて、自己責任で手を伸ばす・・・。

ヘビ運のない私にとって、生涯3匹目となるマムシ。撮影後、咬まれないように遠くに放り投げた(毒ヘビなので、良い子は真似しないこと。真似する大人は状況をよく見極め、リスクを考え、自己責任で。)

そして、今日一番の虫に出会ったのが、このタラノキの花。昨年9月に六甲山で逃げられた、あのハナアブが飛来していた。長竿を伸ばして振り抜くが、一回目は空振り。一目散に飛び去ってしまったが、焦ることは無い。条件が良い場所なら、ハナアブは必ず戻ってくる。

すぐ近くに樹液を発見し、ハナアブの再飛来まで時間つぶし。


ノコギリクワガタ

東京では不思議と縁がなかったが、東京以外では良く見る。


カブトムシ♀

子孫を残すため、栄養補給に夢中になっていた。


シラホシハナムグリ

まだ生き残っているとは思わなかった。

そして、待つこと20分。ようやく、ハナアブが戻ってきた。今度は掬いやすい位置に静止したので、死角となる真下から網を近づけ、一気に振り上げ、空中でひとひねり。


スズキナガハナアブ♂

1年前、ヌルデの花に飛来した時は叩き網しか持っておらず、指をくわえて眺めるだけだった。あれで一期一会かと思っていたが、意外な場所で再会できてよかった。

さあ、1匹採れたことだし、時間もいい頃なので、帰途に就く。

バス停までの道で、良い位置に生えるタラノキを発見。

近寄ってみると、またハナアブを発見。


スズキナガハナアブ♀

先ほどのオスよりも一回り大きく、複眼が離れているのでメス。1ペア採れれば、もう言うことはない。


黄金色に染まる直前の水田

樹液のハナムグリは、来月におあずけ。次に来る時は、さらに秋めいてきていることだろう。

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