2010.Jul. 26-31
3日目 28日(水)
朝9時、某駐車場で目覚める。雲が空を覆っているものの、雨は降っていない。
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山地はかなりの大雨だったようで、濁流が暴れまわり、ダム放流中との放送が流れている。
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今日も天気はあまり良くなさそうだが、気温はそこそこ上がりそうな様子。遠方の山々には雲がかかっており、登っても雨に降られることは確実。それならば、今日は平地のヤナギ林をめぐることにしよう。
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装備を整え、河川敷のヤナギ林へ。
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今回の遠征で採集指令も出ているエゾカミキリの生息濃厚エリアは、すでに水没。他の場所に避難しているのだろうが、そこは人間の眼で探すにはあまりに非効率。
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そこで、もうひとつの目的であるジャコウカミキリに狙いを絞る。衰弱していそうな木を求めて、灌木や下草をかき分けて進んでいく。
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気温は21℃だが、川沿いなのでものすごい湿度だ。
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何十本目の木を見た時だろうか。黄色と褐色の縞模様が、根元にまとわりつくように飛んでいる。この姿、この動き、間違いない、アイツだ。光量が足りないので撮影は断念、長竿を一振り。
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キタスカシバ♀ Sesia yezoensis
オスはフェロモントラップでいくらでも採集できるが、メスはそうもいかない。本州にも分布しているが、学名通り北海道で採れたことが嬉しい。
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この後、黄色い影も意識しながらヤナギ林を探索するものの、緑と赤の影が姿を現すことなく林は途切れてしまった。
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今度は、川床から一段上がったところのヤナギ林を探索。こちらの方が大木が多く、わりと古くから林として成立していたようだ。どんな木でも年月が経てば弱った枝のひとつやふたつは出てくるもの。そんな木が多いところに、ジャコウカミキリが住んでいる、そんなイメージ。
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案の定、部分枯れはいくつか見つかる。そして、地味な影も動いている。
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ナガゴマフカミキリ
もともと斑紋の個体変異が大きい種類だが、ずいぶんと雰囲気が違って見えるのは、やはり北海道。
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ずっと木を見上げていては疲れるので、下草にも目をやる。天気が悪いと虫の動きも鈍く、網を使わずとも簡単に捕まえることができる。
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エゾゼミ
これも北海道を意識させる名前の持ち主。本州では山地の虫だが、ここでは平地でみられる。
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フタオビハバチ
ハチの仲間だが毒針を持たないハバチの仲間に属する。毒針を持つドロバチ類と同じ斑紋であるところに惹かれ、採集。
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この後は、特に何も収穫はないまま延々と歩き続け、あれだけ続いたヤナギ林も終わりが見えてきた。
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この木で最後。緑色の金属光沢をイメージして上から下まで眺めるが、何もいない。
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やっぱりダメだったかと、視線を外そうとした瞬間、幹に違和感を感じる。周辺視野が瞬時に切り替わり、ジャコウカミキリ探索モードから通常探索モードへ。すると、何もいないはずの樹皮に虫の影が浮かび上がり、迷わず手が伸びた。
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ヤナギトラカミキリ
北海道特産のカミキリムシに、ようやく出会えた。しかも、ジャコウカミキリよりも出会うのがずっと難しいらしい。今回は無理だろうと思っていたが、図鑑で一応確認しておいて良かった。
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もう1匹いないかと目を凝らすが、アリが数匹歩いているだけであった。
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体力をだいぶ消耗したので車に戻り、エネルギー補給へ。その後、採集指令を果たすべく、土場を求めて車を走らせる。情報は何もないが、なんとなく・・・。
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しばらく車を走らせると、気になる脇道を見つけ、進んでいくと道路脇に薪置き場を発見。針葉樹、広葉樹が程良く混じっている。今日は実に運が良い日なのかもしれない。
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遠目にもカミキリムシの姿が見え、近寄ってみると無数のカミキリムシが見られる。どれも本州でも見られる種類ではあるが、我を忘れて採集に没頭する。
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ホソトラカミキリ
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ヒゲナガモモブトカミキリ
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アトジロサビカミキリ・
シラオビゴマフケシカミキリ
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ハンノアオカミキリ
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クロトラカミキリ
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カタシロゴマフカミキリ
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ルリボシカミキリ
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ヨツスジハナカミキリ
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ゴマフカミキリ
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ヒメヒゲナガカミキリ
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こんなに多数の種類が一度に見られたのは、大学2年の南会津以来だろうか。自己初採集となるクロトラカミキリが、もっとも嬉しかった。
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その後、採集指令を果たすべく某河川敷を目指して車を走らせるが、タイムアップ。長距離運転が苦手な私には、北海道は広すぎる。
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ずいぶんと疲労が溜まってきたので、温泉へ。汗を流してすっきりした後、車に戻って意識を失う。
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21時半、眼が覚める。気温は21℃、そろそろ灯火めぐりに出かけるとしよう。
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例の駐車場
今日は飛んできているだろうか、期待しながらライト片手に徘徊。
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コクワガタ
残念ながら大型甲虫はこれだけであった。
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新規開拓、第2ポイント。昼間に見て、なかなか良い立地だったので来てみた。見立て通り、虫の数はわりと多い。
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オニクワガタ♂
こんな平地にもいるとは、さすが北海道。
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シロヒトリ♂
腹端から怪しい突起を出し、メスを呼ぶためフェロモン放出中。
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ノコギリカミキリ♂
カミキリ屋はかなり遠くからもすぐ識別するが、普通はゴキブリにしか見えないだろう。
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コキマダラセセリ
昼飛ぶ鱗翅目も、たまには灯火を訪れる。
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ヒメスジコガネ
石のようにじっとしているかと思ったら、いきなり飛び立った。
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ヘビトンボ
下手に触るとかみつくので、撮影のみ。
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シオヤアブ
飛んでる時は大型のハチに見える。羽音も大きい。
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種類は多いのだが、肝心の甲虫の姿はない。やがて体力の限界が訪れ、車に戻って意識を失った。
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