初夏到来

2010.May 14

暦は駆け足で進み、早くも初夏真っ盛り。木々の若葉は出揃い、シイ類の花があちこちで開花している今日この頃。これまで屋内での仕事に埋没して取り残されつつあったが、体力に少し余裕が出てきたので、そろそろ追いかけてみたくなった。

夜勤明けの翌日、いつもより遅く起床して身支度を整え、3週間ぶりに近所の里山へ。前日に設置しておいたトラップの確認をしつつ、季節の移り変わりをしっかりと把握することにしよう。


前回とは違うルートで目的地を目指す。未舗装の車道からは、懐かしさが感じられる。


キリの大木

葉がわずかしか出ておらず、だいぶ弱っている。

ミヤマカミキリの幼虫が穿孔しているらしい。数年以内には枯れるだろう。

木屑とともに染み出る樹液には、ヨツボシケシキスイが群がる。

6月に訪れるのが楽しみだ。

道端にはヨモギが多く、しおれているものも目につく。

周囲を探すと、すぐに張本人が見つかった。


キクスイカミキリ

発生初期は栽培されてるキクに集まって産卵しているが、しばらくしてキクが生長して堅くなると、今度はヨモギに移動してくる。

さらには、セイタカアワダチソウにまで手を出すものも。こんな小さな虫でも、リスクを分散させることをよくわかっている。

池に到着。平日にもかかわらず、太公望が多い。空には雲が広がり、雨が降りそうな予感。

自転車を置いて、散策路を歩いていく。一歩進むごとに様々な虫と眼が合うが、その一部を紹介。

ノイバラは今が花の盛り。

若葉に眼を転じると、そこには多数の揺籃。


ヒメクロオトシブミ

若葉が出そろうこの季節は、大忙し。

アベマキの葉をかじる、チビタマムシの仲間。帰宅後に調べてみたら、ダンダラチビタマムシと判明。そういえば、前回目星をつけたクリタマムシはもう出ているか、後でチェックしてみよう。

道端で不審な動きをするネコを発見。カメラを向けたので警戒中。面白いのでしばらく観察することに。

何が面白いかというと、矢印部分に注目。ムカデがいるのが見えるだろうか。

かみつこうとして躊躇したり、前足で攻撃したり、悪戦苦闘。ネズミを怖がるネコもいる現代、本能を忘れていないのは大したものだ。そのうち下草に逃げ込まれてしまったが、諦めない。音を頼りに前足で叩いて道に追い出そうとしていた。あまりに時間がかかりそうだったので、途中で見切りをつけて先へ進む。

ここが、昨日の夕方にトラップを設置した林。前回、オオヨツボシゴミムシを掘り出した場所でもある。

狙いはオサムシ、ゴミムシ。埋めたコップは5個。

ネタはこれ。蛹粉と同様な効果があることを期待した。

だが、ゴミムシがお情け程度に入っていただけ。何が悪かったのだろうか・・・・。

アテが外れたので、あとは適当に未踏ルートを少しだけ探索。途中で雨が降ってきたが、構わず進む。


放棄水田

残念ながら立ち入り禁止となっていた。


オオスズメバチ女王

この時期は一人で幼虫を養っているため、野外でよく見かける。

保全エリアではキショウブが満開。この頃には雨は止み、青空が広がる。

スイカズラも開花し、甘い香りが漂う。ニセリンゴカミキリはもう少ししたら発生するだろう。

ハゼノキの花とナミハナムグリ。天気が回復すると、虫も飛来する。

ノイバラにも飛来していた。

最後に、クリタマムシのポイントへ。木はかなり弱っていて、枯れてる枝が多く、葉も少ない。

それでも、花を咲かせるつもりらしい。来月には開花することだろう。

荷物を置いて、クリタマムシが葉をかじっていないか探すが、影も形も見当たらない。まだちょっと早かったか。

代わりに、こんな幼虫を発見。

枯枝で一休みしているものも。全部で5匹を発見。

前回のクワゴマダラヒトリとは明らかに違い、カレハガ科の雰囲気が漂う。これは、もしかして、あの外来種かも・・・。

携帯に記録しておいた画像と照合する。どうやら、探していたムラクモカレハで間違いなさそうだ。コナラだけでなく、クリにも手を伸ばしてきたか・・・。

触ると痛痒くなるという情報もあるが、まったく問題なかった。体質の問題か、幼虫の大きさの問題か、それはわからない。触りたい人は、あくまで自己責任で。

このエリアの狙いの一つが見つかったところで、今日の探索はおしまい。次に来る時は、トラップに何かが落ちていますように。

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