2010.Jun. 4
6月に入り、梅雨の足音も聞こえるようになった今日この頃。生活の変化にもだいぶ慣れてきたが、疲労とは気づかぬうちに溜まるので、何も予定がない休日の朝は起きるのがつらいもの。でも、あまりにも良い天気だと、どこかへ出かけたくなる。ということで、近くの丘をちょっとだけ散策。
9時50分、いつもの道を自転車で進んでいくと、道端のカキの葉に虫影を見つける。今日は周辺視野の調子がかなり良い。
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ルリカミキリ
目の覚めるような瑠璃色が美しい、里のカミキリムシ。もう発生しているなら、目星をつけた発生木でも見つかるかも。
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こんな顔をしている。触角で複眼が分割されてて、四ツ目なのがわかるだろうか。
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そして、第一ポイントとなる樹液をチェックしようとしたのだが、そこには目を疑うような光景が・・・。
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環状除皮
傷口を見る限り、ここ数日のうちにやられたらしい。大学構内で採集者(小学生含む)に同じようにやられたクヌギ大木を思い出す。畑の脇という人為の影響を受ける場所に生えているので仕方がないが、目星をつけていたポイントの消滅は悲しい・・・。
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個体数が増えてきたヨツボシケシキスイも、やがて新天地へ旅立ってしまうだろう。
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第2ポイントは、この時期に旬を迎えるクリの花。
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花は五分咲きというところか。関東でクリの花掬いといえば、わりと多くのカミキリムシが入る。神戸ではほとんど入らなかったが、ここではどうだろうか。時間は10時10分、長竿を伸ばして掬ってみる。
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コイチャコガネ
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ヒメヒラタタマムシ♂
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セボシジョウカイ
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上:コアオハナムグリ
下:ナミハナムグリ
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ハチやハエに混じって甲虫はそこそこ入っているのだが、カミキリムシの姿はまったくない。あのヒメクロトラカミキリやエグリトラカミキリですら、いないのだ。なんということか・・・。
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オオスズメバチ
結構粘ったのだが、もう無理だろうと判断。これを採集したところで場所を移動する。
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第3ポイント、カナメモチ。昨年分のルリカミキリ発生痕跡は確認済み。あの姿を念頭に、葉裏をくまなく眺めていく。
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とりあえず、今年の生息痕跡だけはかろうじて見られたが、ついに主の姿を見つけることは出来なかった。まあ、こういうこともあるだろう。長竿で掬ってみても結果は同じだったので、先へ進む。
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いつもの池の様子。キショウブの花はほぼ終了。
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代わって、スイレンの花がこれから見頃を迎えるらしい。
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コシアキトンボ
池の近くの林縁に未成熟個体がたくさん飛んでいた。成熟すると「腰」の部分がきれいな白になって、白い雲を背景に飛んでいると、「腰」の部分が空いている(色が抜けている)ように見える。
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第4ポイント、コナラの樹液。まず遠目から見つかったのは、オオスズメバチ。定期的に訪れて傷口を咬み広げることで、樹液の泉が維持されるのだ。
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上:シロテンハナムグリ
下:シラホシハナムグリ
同時に樹液を吸っているのは久々に見る。関東と違って、樹液ではシラホシが圧倒的な勢力を誇る。
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サトキマダラヒカゲ
スズメバチが去った後に飛んできた。樹液の泉での地位は低く、とても遠慮深い。
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マダラアシゾウムシ
立ち去る寸前に、ようやくその存在に気付いた。実に見事な色合いをしているものだ。
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ハルゼミの声が響く森を抜けると、そこは草原地帯。ここでは、違う鳴き声があちこちで聞こえてくる。
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ナキイナゴ
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左右の翅の間は、大きな空洞になっている。後脚と翅をこすり合わせて発音し、それをこの空洞で共鳴させ大きな音にする。気配には敏感ですぐ鳴き止んで葉裏に隠れてしまうし、バッタが鳴くと思う人はそんなに多くないだろうから、この時期の草原で聞こえる声の主を知らずにいる人も多いことだろう。
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草原には、アカマツの立ち枯れが点在する。自力では未採集のクロタマムシが来ていないかとチェックするのだが、なかなか見つからない。
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ウバタマコメツキ
タマムシよりさらに目立たない虫を見つけただけであった。
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日が高くなり、暑さが厳しくなってきたので今日はこの辺で。12時に帰途についた。