蘭嶼之旅


3月27日(土):8日目

昨日に引き続き、早起きして空港へ。Dongさんの言ってた通り、すでに多数の人が順番待ちの列に並んでいた。そして、その順番待ちの方法を巡って島の住民と旅行者との間でトラブル発生。シャッターが開いた後、一気に人がなだれこんだことも重なって、空港ロビー内は一時騒然とする・・・。

(収束過程は省略)

なんとか空席待ち受付表に名前を書くことができたが、今朝は出遅れてしまったため、第3便に乗れるかどうか。そもそも、飛行機が来ないことには始まらない。台東空港からの第1便の到着を、みんな固唾を飲んで待つ。

夏の陽気を取り戻した空。


台灣黄斑弄蝶
Potanthus confucius

空港のそばの草地には、2日ぶりにチョウの姿も。日本で言うキマダラセセリの仲間。

そして、第1便が無事に到着。18名の乗客とともに、9時25分に台東空港へと丸2日ぶりに飛び立っていった。

順番が回ってくるのはしばらく先になるが、このまま順調にいけば、今日中には島を脱出できそうだ。

>第2便、10時50分、出発。

第3便、11時35分、出発。

午前中はこれで終了し、第4便は13時40分。

2時間の休憩を確認したToki氏は、Dongさんにお願いして最後の悪あがき。

車に乗せてもらって、空港から最も近い採集ポイントへ。島の景色を目に焼き付けつつ、網を振るう。


善 變 蜻 虫延
Neurothemis ramburifi

与那国島にもいるアカスジベッコウトンボの♀(未熟個体)。多数飛んでいるトンボの中でもっとも目立った。


黒翅蝉
Huechys sanguinea

毒々しい色彩のセミ。これも擬態なのか、それとも本当に不味いのか。


圓斑硬象鼻蟲
Pachyrhynchus tobafolius

この島を代表する甲虫も、これで見納め。はるばるフィリピンから流れ着いたカタゾウムシたちに、栄えあれ。

そして、斜面から吹き下ろす風に逆らいながら、見たことない巨大なチョウが、道に沿って悠々と飛んできた。時間の流れが急にゆるやかになり、翅の斑紋がはっきりと見える。

前翅は黒で、内から外へ流れる何本かの白い筋。後翅は黄色で、黒い縁取りと斑点がある。胸には赤いワンポイントが入り、ナガサキアゲハ♀よりも二回り以上は大きい。

「これが、キシタアゲハの♀なのか!」

飛んでいる高さは、ちょうど私の顔の高さ。私の眼の前を悠然と通り過ぎ、なおも道を登り続ける。ゆっくり後を追いかけても、逃げる気配はない。なんという堂々たる姿。

やがて、ヘアピンカーブに差し掛かったところで高々と舞い上がる。

蘭嶼の神様、ありがとう。

時間ギリギリまで粘って、急いで空港へ戻る。

落ち着きを取り戻した昼過ぎの空港。

カウンターの反対側には、キシタアゲハのポスター。過去の反省から、今では積極的な保護活動も行われているらしい。

第3便にはあと数名のところで乗れなかったが、その後に臨時便が出ることに。

待望の搭乗券を手にする。Dongさん一家と記念写真を撮り、飛行機へ。

いよいよ、お別れの時。台湾人でさえも、なかなか訪れることがないこの島。もう、一生来ることはないかもしれないな・・・。

一週間、ありがとう。さようなら。

20分後、台東の景色が見えてきた。

当初の計画ではここでも採集をと考えていたのだが、今は帰国のため時間との勝負。飛行機を乗り継いで、一気に台北へ。

Toki「魚雷? やばいんじゃないのか。」

完全に浦島太郎状態だった我々、機内で新聞を見て、朝鮮半島に走る緊張をようやく知る。同時点での日本と違い、台湾ではすでに断定された報道。

日も暮れてから、ようやくToki氏の下宿まで戻ってきた。荷物をまとめた後、街中へ。

目的地は、本屋。

日本の半額程度で購入。良心的なT両替商に感謝。

その後、研究室へ。Toki氏の同僚と、写真を見ながら成果報告。

帰り際、コレクションの一部を拝見。

果てない世界で遊ぶことができるのは、とても幸せなことなのだ。

明日は早朝の便で台湾を出発するので、空港の近くで泊まる。

「海の向かうでまた会わむ」

交わした別れの言葉は、阿波国の時と同じ。いろいろ頼りまくってしまったけど、楽しい旅を本当にありがとう。

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