イナゴの佃煮作り

秋の味覚のひとつであるイナゴの佃煮といえば、かつては稲作地帯における重要なタンパク源であり、現在でも地域によってはスーパーでも販売されている。日本の三大昆虫食である蜂の子やザザムシと大きく違うところは、材料がとても身近で、誰でも簡単に大量に集められるということ。調理も簡単なので、日本の三大昆虫食の中でもお勧めの一品である。

材料:イナゴ類(コバネイナゴ、ハネナガイナゴ)、醤油、砂糖

材料のイナゴは、まず市場に流通することはない。

刈り取り後の水田に出かけて集めてくるところから始めよう。

採集の様子はこちら → イナゴ狩り2011 秋の味覚イナゴ狩り(2008年)

採集してきたイナゴは袋に入れたまま一晩屋外に放置。


イナゴの糞

翌朝、イナゴが糞を出し切ったところで冷凍庫へ。

1日以上経ったところで冷凍庫から取り出し、タッパーに移す。このまま調理しても良いのだが、食べやすいようにひと手間かける。

後脚を取り除く。

後脚脛節にはするどい棘が並んでいる。これを取り除いておくだけで口当たりはかなり改善される。

寒冷地には”佃煮型”とも呼ばれる小型の個体が出現するが、この棘が小さく除去する必要がないことがその由来のひとつらしい。

凍結状態の方が脚がとれやすいため、時々冷凍庫に戻しながら作業を進める。30分ほどかけて、すべての個体の後脚を取り除いた。翅も取り除くとさらに良いらしいが、かなり大変なのでいつも省略している。

この時点では、まだ緑色を帯びている。この状態で冷凍しておけば、いつでも調理ができる。

鍋にイナゴを入れ、煮る。一般的な作り方と違うのは、水ではなく緑茶で煮ること。

5分ほどで鍋が真っ赤になる。立ち上る湯気からは、イネの香りが漂う。

加熱すると赤くなるのは、エビやカニと同じ。

水の量が多かったので、イナゴが軽く浸るくらいまで減らす。醤油を少し、砂糖をたっぷり投入して、ゆっくりかき混ぜながら煮込む。

だんだんかき混ぜる速度を上げていき、焦げないように煮詰めていく。水分がなくなる少し手前で、味見をして砂糖を加えて全体にからめていく。甘いのが好きなら、砂糖は多めに。

煮込み始めて40分、水分がほぼ飛んだところで火を止める。しばらくかき混ぜ、焦げない程度まで鍋の温度が下がったら完成。


黒光りするイナゴ

今年の新米で炊いたご飯と一緒に食べると、稲作の喜びをより深く味わうことができるだろう。

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