2011.Oct.19
春は里から山へ駆け上り、秋は山から里へ降りてくる。
相方と最初に出会ったのも、ほぼ1年前のこの季節。再会するまではしばらく間があったものの、一緒に野山にでかけているうちに、気がついたら、虫屋の三大関門の最後のひとつを共にくぐり抜けていた。大きな峠をひとつ越えてから4日が経って一息ついたところで、記念にどこかへ出かけようということで、近場へ秋を探しに行く旅に出た。
朝9時半頃、電車に乗って和歌山へ。レンタカーを借りてさらに南下、そして東進。目指すは、ススキの名所として有名な生石高原。
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アクセルを思い切り踏み込んだ状態で山道を延々と登り、12時に高原の駐車場へ到着。平日にもかかわらず第1駐車場は満車、第2駐車場で車を降りる。
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北面を見渡すと、出発地点の和歌山市があんなに小さく見える。
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振り返ると、さっそく撮影に夢中になる相方。カメラ片手に歩く足元からは、多数の虫が飛び跳ねる。
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コバネイナゴ
エサがたくさんあるから、個体数もかなりのもの。
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駐車場へ続く道の脇から、稜線沿いの道へと進む。
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道の両脇はススキがびっしり生えており、風にそよいでいる。その根元にはたくさんの鳴く虫が潜んでいるらしく、いろんな鳴き声が聞こえてくる。スズムシまでいるのには少々驚いた。
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少し歩くと、草原の中にぽっかりと浮かぶ岩場に到着。広場があり、一休みしながら昼食をとるグループが多い。
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岩陰に近い風が当らない場所で、昼食。今回はコンビニのおにぎりなので写真省略。
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リンドウ
周囲に眼をやると、小さな花が結構咲いていることに気づく。
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オオハナアブ
その花には、少ないながらも虫が集まっている。
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ツマグロヒョウモン♂
昼食を食べている背後で、縄張りを主張していた。
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逃げてもすぐに戻ってくるので、写真撮影にも挑戦。
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13時、頂上へ向けて歩き始める。
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時々立ち止まっては、青空に映えるススキの穂にカメラを向ける。
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展望台があったので、ちょっと寄り道。
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駐車場よりもよく見える。
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来た道を振り返る。この3倍くらい歩いたら、頂上に到達する。
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展望台を後にして、散策コースを進んで行く。
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暖かな日差しを浴びて、ススキの穂が輝く。
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陽だまりでは、ニホンカナヘビも活動していた。
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道端では、驚いたコバネイナゴが時々跳ねる。これまでは特に視線を向けることなく歩いてきたが、明らかに雰囲気の違う個体が混じっていることに気づく。
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この違い、わかるだろうか。細身で、触角が長く、翅も細くて、脚が赤褐色。あとで同定できるように2方向から撮影して、そのまま放つ。
帰宅後にバッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑を開いて、その正体がわかった。
イナゴモドキ♂
山間部に生息し、西日本では分布が局所的。もちろん、初めて見る種類である。この後も数個体目撃したのだが、採集しておけばよかった・・・・。
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昼食場所から歩くこと40分、山頂まであと少し。重い体を少しずつ上へ上へと持ち上げる。
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生石ヶ峰(870.1m)
南面には紀州の山々が連なる。
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西面には、今まで歩いてきた道のりのはるか遠くに駐車場が見える。
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ツマグロヒョウモン♂
山の頂上でよく見るが、ここでも縄張りを主張している。
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相方が捕まえたコバネイナゴ
駐車場ほどではないが、それなりの個体数が見つかる。いきなり手を伸ばしたのは、次回のための練習なのだろうか。
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そろそろ引き返そうと思った時に、ひときわ大きな虫が吹き上がって来た。
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キアゲハ
尾状突起が片方欠けているが、かなり新鮮な個体。
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一緒に撮影に挑むが、頻繁に動く相手に対しては一眼レフの方がはるかに有利。手早くピントを合わせて次々とシャッターを切っていた。
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一方のデジカメは、18倍ズームで遠くから警戒していない姿を狙う。微小な甲虫を相手にしている時は使えないが、こういう時には威力を発揮する。
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お互い良い写真が撮れたところで、下山。
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写真を撮りながら歩く相方と離れすぎないように振り返りながら歩くが、何度目かに振り向いた時、道端をすばやく動く影を見つけ、走り寄る。
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キイオサムシ
草原のそばまで迫る林から迷い込んだのだろう。
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この後、地面にも多少なりとも目を向けながら歩いていくが、追加個体が現れることはなかった。
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傾き始めた太陽が、ススキを銀色に輝かせる。
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ナガコガネグモ
太陽に背中を向けて、見事な縞模様が草原に映える。
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イチモンジセセリ
リンドウの花に頭を突っ込み、夢中になって蜜を吸っていた。
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途中でトイレに立ち寄り、土産物屋にあった写真を眺める。色とりどりの花の写真がたくさん飾られていた。花の写真はこうやって撮るのか・・・。
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駐車場まであと少しというところで、ちょっとだけ寄り道。
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そこには、さきほど写真で見た花が咲いていた。
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マツムシソウ
名前も印象に残るが、形もなかなかのもの。
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花の後に出来る実も面白い形をしている。
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道端に咲く小さな花を撮影しながら、駐車場へと戻っていく。
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ゲンノショウコ
薄紫色の小さな花が美しい。
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ツリガネニンジン
特徴的な形と淡い色合いがなんとも魅力的。
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ミヤコグサ
シルビアシジミのホストとして、これだけは以前から知っていた。
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だんだん気温が下がり始めた15時、帰途についた。
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久々の山歩き、おつかれさま。来年は、また違った秋を探しに行こう。