2011.Dec.14
季節はあっという間に冬になり、今年も残すところあと半月。長く続いた夜勤付きシフト生活から解放されて、ようやく昼間勤務に。体調が明らかに良くなって気力も取り戻したところで、久々の採集へ。どこに行こうか迷った末に、ひとまず河川敷に行っていろいろ掘ってみることにした。
和泉国から電車で北上し、山城国へ。目星をつけていた場所に到着したのは12時半。川沿いを歩きながら、良さそうなポイントを探す。今回の狙いは、草原環境が維持されているところ。
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とりあえず、あのあたりに行ってみよう。
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堤防を駆け下りると、枯草が一面に広がる。カナムグラ、クズ、ノイバラなどが繁茂していて、堤防に沿ってセンダングサの帯が伸びる。思い描いている草原環境とはだいぶ違うが、とりあえず岸辺まで行ってみることに。
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枯草に埋もれて足を取られながらも、なんとか岸辺に到着。蔓性植物に覆われていない環境にようやくたどり着いた。さて、ここで例の草原性オサムシが潜んでいそうな場所を探そう。
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探すと言っても、具体的にどんな環境を選んで越冬しているのかは知らない。いくつか考えているうちのひとつが、湿った小規模な段差や土盛り。これが合っているかどうかはわからないのだが、そういったものが存在しそうな場所を、歩き回りながら探していく。
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歩き回るうちに、湿った場所は何カ所か見つかった。ただ、オサムシが潜りこむきっかけが見当たらない。試しに掘ってみても、何の手ごたえもない・・・。
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そうこうしているうちに、足は自然と林の方へと向かっていく。
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林の入り口付近に、ヤナギ類の朽木を発見。地面に接していて、程よく湿度が保たれていそうだ。
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手鍬を振り下ろす。
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振り下ろした先に、黄色い星が見えた。逃げられないように、すばやく取り押さえる。
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オオヨツボシゴミムシ
言わずと知れた、ゴミムシの中でも屈指の美麗種。和泉国の崖掘りで過去に2匹見つけているが、朽木からは初めて。本日最初に見つけたゴミムシが、まさかこんな大物になるとは。
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逃げられないように慎重に容器に収めて、朽木崩しを続ける。
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アオゴミムシ
環境が良い場所には集団で越冬するので、次々と出てくる。最初の数匹だけ確保して、さらに奥へと崩していく。
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アオゴミムシの集団の奥に、またしても黄色い星。潰さないように慎重に取り出す。
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オオヨツボシゴミムシ
同じ朽木からせいぜい1匹だけと思っていたので意外。もしかしてまだいるかもと、さらに崩していく。
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アカシマサシガメ
冬の朽木崩しでおなじみのサシガメ。アオゴミムシと異なり集団でいることはない。
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クワガタの幼虫
これが出てくるということは、もう掘ってもオサムシ・ゴミムシは期待できない。見切りをつけて別の物件を探すことにしよう。
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林の奥に進むと、池がある。ヤナギが多く生えており、その根元には洪水で折れた幹がある。
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そのひとつを崩してみる。
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コガタスズメバチ女王
スズメバチ類の女王との遭遇も、朽木崩しでは定番。まだ気温が高いので、すぐに動き出した。
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ムナビロアオゴミムシ
アオゴミムシ類で出てきたのはこれだけ。種類が違うのは湿度が違うからなのだろう。
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この後、林内を歩きまわりながら朽木を崩していくが、めぼしい出会いはなし。だんだん空腹になってきたので、堤防まで戻って遅めの昼食にする。
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手作りの味をかみしめていると、地面からの視線に気づく。
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コバネイナゴ♀
12月も半ばだというのに、まだ生き残っているとは驚くばかり。そういえば、堤防を駆け下りる際にも何匹か跳ねていた。このまま年越しをしてしまう個体もいるのではないだろうか。
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昼食後、場所を変えるために移動を始める。
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途中、水田の脇の斜面が気になったので寄ってみる。ここもある意味、長年にわたって維持されてきた草原環境といえる。歩くだけでは何も出てこないので、時々立ち止まっては手鍬を振り下ろす。
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ハナムグリの仲間の幼虫
たぶん、シロテンハナムグリあたりに化けるはず。せっかく掘り出したので、持ち帰って飼育することにしよう。
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潜っていたのはこんなところ。水路にたまったアオミドロなどが積み重なって腐っていた。糞もたくさんみられたので、これがエサになっていたのだろう。
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しばらく歩いて、別の場所に到着。かつてはヤナギ林が広がっていたという場所だが、今はこのとおり。ここでも蔓性植物やノイバラが行く手を阻む。
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なんとか岸辺にたどり着き、探索開始。
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小規模な砂の崖を発見。こんな感じのところにいるのだろうと思い描いているが、背後の環境が良くない。手鍬で崩してみるものの、昆虫がまったく出てこなかった。
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こうなると、目先はおのずと倒木に向かう。場所を選んで手鍬を振り下ろすと、さっそく手ごたえあり。
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マイマイカブリ
河川敷での朽木崩しでおなじみ。東日本、北日本では青・緑・赤・紫といった色彩変異が楽しめるが、漆黒の姿というものも、また趣がある。
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ウスバカミキリ幼虫
さらに掘り進めると、無数に走る食痕の先に巨大な幼虫がゴロゴロ。時間もあまり残されていないので、これ以上はやめて他の物件に着手。
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これで最後ということで、ヤナギの短い立ち枯れに手鍬を振り下ろす。
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すぐに、マイマイカブリが姿を現す。多数の個体が潜んでいるかなと思ったが、なかなか次の1匹が出てこない。かつて下野国で遭遇したような集団越冬をするには、乾燥が厳しすぎる。
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かなり削っていって、ようやく2匹目にたどり着く。これが、本日最後の個体となった。
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日が傾いて景色は夕焼け色に変わり、冷え込んできた。変わりゆく河川環境に生き残りを託したあのオサムシへの挑戦は、来年に持ち越し。