2011.May.26
遅れていた季節を取り戻すかのように、晴天の暑い日が続く今日この頃。
前回の下見では「つぼみ固し」だったツツジも、例年通り咲き始めている様子が御所市のサイト上で紹介され始めた。昨年の状況を見る限りは「三日見ぬ間の桜」といい勝負で、ひとたび散り始めたら最後、青葉一色になるまでとてつもなく速いらしい。このままだと満開を過ぎるのは目に見えていたので、花の推移をドキドキしながら見守っていたが、約束の日の6日前には「見頃」を迎え、当日朝の状況は「散り過ぐ」。それでも、写真を見る限り山肌はまだまだ赤く染まっている。きっと、まだ今日の昼までは残っているはずだ。期待を込めて、電車に乗り込んだ。
10時50分、電車とバスを乗り継いで山麓に到着。あいにくの曇天だが、観光客はわりと多い。
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身支度を整えて、駅の右脇から登山道へ。山頂までは約3.3kmの道のり。山麓は初夏を迎え、生き物が溢れだす頃。
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さっそく、相方が虫影を発見。この時期にクワの幹にいるものといえば、
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クワゴ幼虫
絹糸を吐くカイコの親戚にあたる。鳥の糞に似せてうまく隠れている。
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北尾根コースに入るとすぐに登り坂に。
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クロヒカゲ
道端に多く、気配に驚いて飛び立つ。
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キスジコガネ♂
道端の葉上に静止。初夏の雑木林の雰囲気を実感する。
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しばらく登りが続き、汗が噴出する。あくまで登山が目的なので、ゆっくりと登っていく。
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11時半、見晴らし台まで来たので一休み。眼下には大和盆地がかすんで見える。
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ニホントカゲ
休憩中に相方が発見。かなりの大型個体。言われるまでまったく気づかなかった・・・。
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再び歩き始め、延々と続く坂道を一歩一歩登っていく。相方に合わせてかなりペースを落としていたが、下山してくるベテランの登山者とすれ違った際に、「そのペースでは持たない」と相方は助言される。さらに歩みを遅くする。
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登り坂を進むこと20分間、ようやく道が平坦になってきた。ここまでくればひと安心。
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12時10分、分岐点に到着。
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オオギンスジハマキ♀
看板のそばの灌木に静止していた。小さな鱗翅目でも、綺麗な模様のものは結構いる。
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少し休憩した後、左側のブナ林の中を通るコースへ進む。
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時々、道端で気になるものを見つけては写真撮影。初夏ともなれば花も虫もいろいろと眼に飛び込んでくる。
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川を渡ってブナ林の中をゆるやかに登っていく。下見の時と違って、若葉が樹冠を彩っている。
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13時、登山道終点に到着。
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ここからしばらくは舗装道路を歩いていく。側溝があるので、甲虫屋の習性として覗きこみながら進む。
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まもなく、黒い影を発見。
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マイマイカブリ♂
すでに息絶えていて、アリに運ばれつつある。
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そして、側溝の前方には別の影が動く。
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ドウキョウオサムシ♀
匂いにつられてやってきたのだろうか。さらには、興味津津のおばちゃんたちまで寄ってくる・・・。話相手になる相方に感謝しつつ、慎重に採集。
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さて、気を取り直して本日最大の目的地へ。
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13時15分、山頂到着。
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金剛山を眺めながら、ツツジ園へと向かう。
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ロッジの横を通り過ぎる頃には、赤いものが眼に飛び込んでくる。
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さて、「一目百万本」と呼ばれる光景は、いかに。
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盛りは過ぎたものの、赤く染まった山肌が眼下に広がる。3時間も歩き続けて、なんとか間に合って良かった。
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数時間で散るということはないので、ひとまずお弁当。山の上はだいぶ寒いので、エネルギー補給は大事。
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昼食後、ルートに沿って一周してみることに。
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散り始めということで、花も元気がないものが多い。
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道の途中から見上げると、若葉に置き換わりつつあるのがよくわかる。
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ゆっくりと下って、ツツジ園の外れに到着。頂上付近と比べて、人影はまばら。
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こちらの方が全体的に花の勢いは良い。
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見事に咲き誇っている株もある。
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マルハナバチの一種
気温が低いからか、個体数は少なめだった。
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写真を撮りながら、道を進んで行く。
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緑一色の金剛山とは対照的。
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盛りは過ぎたとはいえ、一目百万本の威力は十分。なんとか持ちこたえてくれてありがとう。
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帰途につく前に、ミヤコアオイの様子も観察。
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無事に、次世代が育っていた。
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巻き道を通ってロープウェー駅に向かう。ここにもツツジが色鮮やかに咲いていた。
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駅の手前にはたくさんの杖。この時期になると一気に増えるのだろう。
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気温は14℃ (15:00)。肌寒いくらいだが、雨が降らなかっただけでも良しとしよう。
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帰りは大和盆地を見下ろしながら、一気に麓へ。3時間の山登り、お疲れさまでした。