積雪の高尾山

2012.Jan.28

今年は久々に本格的な冬になり、東京都心でもしっかりと雪が積った。暖冬に慣れてしまった現在は驚いてしまうのだが、ひと昔前はこのくらいが普通だったという。都心部で数センチの積雪となると、奥多摩は完全に雪に埋もれてしまっている。登山靴なしで挑むには時間も体力も足りないため、今回は断念。多少の積雪でもなんとか登れる高尾山へ、材採集を目的に行くことにした。


電車を乗り継ぎ、午前10時に登山口に到着。路面はすっかり乾いているが、山肌はうっすらと雪化粧。ケーブルカーには結構人がいるようなので、今回はパス。足腰を維持するために登山道へと進む。


稲荷山コースの入り口

日陰では雪がしっかり残っている。やや遠回りになるのでこのコースで登るのはやめておく。

ケーブルカーと並行する道路を進んで行く。かつて赤い虫を求めて網を持ったカミキリ屋さんが出没したのはこのあたりだろうか。

舗装道路をしばらく歩いて、登山口に到着。ここからは除雪されていない道を進んで行く。

植林の下は雪が比較的少ないが、日光が届かないので解けるのも遅い。

植林を抜けると、水墨画の世界。

枝葉に積もった雪の量は駅前とは比べ物にならない。

雪も厚くなり一部が凍結、足元に注意しながら歩いていく。

生き物の姿はなく、静寂があるのみ。

しばらく歩くと、登山道は南斜面へ。

階段が出てくると、山頂が近づいてきた証拠。

そして、舗装道路へ。山頂はもうすぐそこ。

11時、山頂に到着。休日ということでかなりの登山客でにぎわっている。

展望台から奥多摩の山々を眺める。中央やや左側には真っ白な富士山の姿も見える。

適当な場所でちょっと早めの昼食をとり、出発。

薬王院を通り抜け、麓を目指して参道を進んで行く。奥多摩探索を本格的に始める前までは、灯火採集で何度か歩いたおなじみの道だ。

外灯の配置もまだなんとなく覚えている。

この時期はフユシャクが来ているかもしれないと期待したが、何もいない。意外と虫が静止しにくい構造になっていることも一因なのか。

一応、材採集が今日の目的。目星をつけていた秘密の脇道を進むつもりだったが、深い雪が行く手を阻む。もっと歩きやすいところで挑戦することにして、参道へと戻る。

ケーブル山上駅の近くの自動販売機。昔とほとんど変わっていない。ここでもフユシャクがいないか探してみるが、何もいない。


カタハリキリガ

トイレに行ったら、窓枠のそばで力尽きていた。これが今日見た唯一の鱗翅目。

トイレから戻ってきてふと北側を見ると、圏央道八王子JCTが飛び込んでくる。ヨコヤマヒゲナガカミキリを求めて深夜徘徊をしていた頃、こんなものは無かった・・・。

このまま下山するのは心残りなので、脇道から小規模なピークへ。

目指すは、参道から見えたモミの立ち枯れ。樹皮も枝も残っていて、そんなに古くはないことがわかる。


ヒゲナガカミキリの産卵痕

一昨年につけられたものだろうか。


ヒゲナガカミキリ幼虫の材部進入孔

すぐ近くに浮いた樹皮があったので剥がしてみると、大きな食痕。今年の夏には成虫がたくさん羽化脱出してくることだろう。

さらに、すぐ隣には別の小さな立ち枯れがあることに気づく。ヒゲナガカミキリの産卵痕はないようなので、Rhagiumを期待して樹皮を剥がす。


ヒメヒラタムシ

樹皮下でおなじみの甲虫のひとつ。


アトキリゴミムシの一種

一応、採集してみる。

あいにく状態が悪いようで、これ以外の甲虫は見つからなかった。

この後、ちょっと無理して別の脇道にも挑戦したが何も得られず。

今日のとりあえずの目的は材採集。一応、狙いのものが出てくるかもしれない材を1本だけ確保する。

時間もだいぶ過ぎていたので、下山することに。

南斜面に差し掛かると雪はすっかり消え、日差しが降り注ぐ。

道端にはなかなか良さそうな物件が横たわる。夏にはいろんな甲虫が集まる有望ポイントとなるだろうか。

午後2時、出発地点に戻ってきた。雪道を歩くことで足腰が少し鍛えられたことが本日の収穫と言い聞かせて、帰途についた。

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