2012.Aug.26
厳しい残暑が続いているが、朝晩の涼しさに秋の気配を感じ始めた今日この頃。相変わらず採集にはほとんど出られない状態が続いていたところに、東京での研修が舞い込んだ。この機会を有効に活用するべく、前日宿泊で夕方からわずかながら時間を捻出。明治時代から多くの虫屋が足を運んだ灯火採集の好適地、高尾山へ。
17時45分、高尾山口駅から登山口へ向かって歩き始める。ビアガーデンを目指して歩く若者が眼につく。
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ケーブルカーの駅前は人が溢れているかと思ったが、それほどでもない。
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時間節約のため、迷わず切符を買って乗り込む。
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18時、山上駅に到着。ビアガーデンの順番を待つ行列を横目に急ぎ足で進む。
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久しぶりに見る八王子の街並みは、少しずつ夕闇に包まれていく。
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日没までのわずかな時間に、周囲の状況を把握しておくことが大事。いつもの場所を目指して、参道を進んでいく。
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少し歩いて、今年1月に目星をつけておいた場所へ到着し、林内へ。まず目についたイヌブナの倒木には、あいにく虫の気配はなし。
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少し進むと、またイヌブナ倒木に出くわす。少し暗くなってきたのでLEDライトを点灯して観察していく。
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ウスモンカレキゾウムシ
今日初めて見る甲虫なので迷わず採集。
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これ以外は何もいなかったので先へ進むが、日が完全に落ちたからか周囲が急速に闇に包まれていく。
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ヒグラシ
あちこちで聞こえていた鳴き声もいつしか消え、足元がだんだん見えにくくなっていく。
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18時30分、参道に戻って灯火巡りを開始。以下、出会った虫を時系列順に。
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タテスジゴマフカミキリ♂
広葉樹枯枝で後食中。
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ウスバカミキリ♂
大木の幹を徘徊中。
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ハヤシノウマオイ♂
林縁の下草の上で鳴いている。
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カブトムシ♀
コナラの古い切株に静止していた。
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ニセノコギリカミキリ♀
参道脇の立ち枯れに静止していた。ノコギリカミキリに似ているが南方系の種類のため、奥多摩では見ることができない。初撮影となり、今回の灯火巡りで一番の収穫となった。
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アヤヘリハネナガウンカ
外灯脇に静止していた。
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マダラエグリバ
小型種だが金色の模様が実に美しい。
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ウスクモエダシャク
味わいのある模様で、見つけるとつい撮ってしまう。
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学部生の時は何度か灯火巡りをしたものだが、奥多摩探索が本格化してからはほとんど訪れたことはない。あれから約10年、様子はだいぶ変わっている。
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自動販売機は節電のため、照明が消えている。かつては煌々として多数の鱗翅目が訪れていた。
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あの立派なコナラの大木が、切株と丸太になっていたのは衝撃的だった。
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この後、虫の飛来がひと段落してしまい、なかなか新しい虫が視界に入ってこない。網を持ってウロウロしている何名かに話しかけてみると、今夜は蛾屋さんが圧倒的に多いらしい。ある虫を求めて毎年のように過剰集中が繰り返されるが、今回はそれを見ることがなくて少しほっとする。
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マルモンウスヅマアツバ
そうこうしているうちに時間は過ぎていき、あっという間に終電の9時が近づく。名残惜しいが、これが最後に撮影した虫となった。
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相変わらずの輝きを誇る八王子の夜景。節電とは何かを考えながら、帰途についた。