筑波山参り

2012.Nov.3

10月半ばから出張で筑波国に滞在して、はや3週間。朝から晩まで実体顕微鏡やPCモニターを凝視する日々が続いており、そろそろ息抜きが必要である。せっかく来たのでこの地に所縁のある虫を拝むべく、この国でもっとも有名なあの山へ行くことにした。


11時、つくば駅からバスに乗って目的地を目指す。順調にいけば40分ほどで登山口に到着するはず。

11時半、目的地が近づき、山麓まではっきり見える。あと10分ほどで到着すると思っていたが、それは甘かった・・・。

有名な観光地ということで、行楽シーズンは大渋滞。通過する対向車の車体の長さの合計値だけバスが前に進んで行く状態。どうやら登山口付近にある駐車場の空きを待っている車の列であるらしい。歩けば10分ほどで到着できるというのに、車内で立ったままじっと耐えるしかない。

待つこと1時間、ようやく登山口のバス停に到着。終点まで2時間半(通常は10分)という車内放送を聞いて、すべての乗客がここで下車。駐車場は車で一杯で、人が溢れている。

10分ほど歩いて、ケーブルカー駅に到着。限られた時間を有効利用するため、迷わず往復乗車券を購入。

今度は車ではなく人間の列。最後尾に並んだので、1本後の便に乗ることに。

13時10分、山頂駅に到着。ここも人でいっぱい。

展望広場からは常陸国、下野国が見渡せる。もう少し空気が澄んでいれば、下総や武蔵も見えたことだろう。

広場のすぐ横には散策路。

道のすぐ脇にはブナが生えている。

見上げると、空がだいぶ透けて見えた。

山頂付近は特別保護地区で採集禁止。筑波山の上に来るという目的も達成したので、早々と下山することに。

さて、帰りのバスまであと3時間ほど。せっかくここまで来たからには、筑波の名を冠するあのオサムシを見てみたい。とりあえず、近くの林に入ってみることにしよう。

山麓はスギやヒノキの植林が延々と続く。適当な崖を求めてしばらく歩いていくが、魅力的な物件はなかなか見つからない。そもそも、林が暗くてあまり良さそうな感じが伝わってこないのだ。

こうなったら、行きのバスで見た道路脇の雑木林で探すしかない。植林から脱出し、舗装道路を下っていく。

歩道に沿って歩いていくが、なかなか崖は見つからない。ほんのわずかな段差みたいなものでも良いのだが、それすらない。やがて歩道はなくなり、車にはねられないよう気をつけながら林縁を進んで行く。

やがて、道路に面して車1台分ほど土が掘られている場所を発見。壁面は適度に草木の根が入り込んでおり、傾斜もある。ここに賭けてみることにしよう。

手鍬やスコップなどの道具がなくても、なんとかなるはず。先ほどの植林で拾ったスギの枝で、少しずつ崩していく。

そして、その瞬間はあっけなく訪れる。


ツクバクロオサムシ♀

ようやく見つけることができた。久しぶりに見るオサムシの姿は良いものだ。外見はエサキとまったく区別がつかないのが難点だが・・・・・。

続いて、反対側の壁面を崩してみる。

今度はちょっと手間取ったが、なんとか1匹落ちてきた。


ツクバクロオサムシ♀

今度はオスであって欲しかったが、残念ながら前脚フ節は通常通り。先ほどと同じ色彩の個体であった。

この後、しばらく掘り続けるも追加個体はなし。ゴミムシ1匹すら出てくることもなく、タイムアップ。本当は緑色系の個体が見たかったのだが、掘り出せただけでも良しとしよう。

山頂からの景色で眼の疲れも少しはマシになったし、限られた時間で道具なしでも、なんとか見つけられてよかった。日が傾いて急速に冷え込んでくる中、満員のバスに乗って帰途についた。

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