2013.Dec.17
ゴミムシ採集ということで、前回に引き続き多摩川河川敷の湿地帯へ。航空写真を眺めて、今度はさらに上流側に湿地帯を発見。狙いはアオゴミムシ亜科の美麗種。今度こそ、狙っている虫に出会えるだろうか。
電車とバスを乗り継いで河川敷に到着。
・
水辺に近寄れる小道を見つけ、進んでいく。
・
まもなく、水面が見えてきた。
・
航空写真で見た水辺に到着。どこかで川とつながっているのだろうが、流れがあるようには見えない。この周辺でゴミムシが越冬していそうな場所を探すことにする。
・
水辺の崖
寒い時に増水すると逃げられないので虫があまり入っていない印象が強い。今回も少し掘ってみたが何も出ないのですぐに移動。
・
少し移動した場所にも崖があった。ここの方が可能性があると思って掘ってみるが、ゴミムシは1匹も出ない。すぐに見切りをつけて移動する。
・
水辺の流木溜まり
活動時期なら流木の下にいろんな虫がいるところだが、今日は何もいない。こんなところで越冬しようものなら、真冬に水没して動けずに溺死するだけ。そういう場所を選ぶものは自然と淘汰されていくのだろう。
・
・
こうなったら朽木狙いに変更。しかし、良さそうな朽木はその多くが水に浸かっている。これが陸地にあれば絶好の越冬場所になるところだが、現実はそう甘くはない。このような優良物件を求めて、水辺を離れて探すことにする。
・
・
水辺を離れて探すと、枯木は少ないながらも落ちている。しかし、どれも固いものばかり。
・
しかも、乾燥しているものが多い。夏場はかなり厳しい環境なのかもしれない。
・
・
水分を含んだ柔らかめの朽木を求めて、埋没しかかっている物件を必死に探す。ようやく見つけたのが、古タイヤのそばに埋もれかけていたこの物件。
・
しかし、削ってみてもアカシマサシガメがたくさん入っていただけだった。これがいる朽木はやや乾燥していて、ゴミムシは少ない印象がある。
・
・
探索範囲を広げると、ヤナギが単独で生えているエリアに出る。あまり大きな木ではないので落ち枝はあまり期待できないが、一応近寄ってみる。
・
すると、小さいながらも落ち枝があった。朽ち具合は良い感じだが、この大きさではほとんど虫は入っていないだろう。
・
アオヘリホソゴミムシ
ゴミムシはこの1匹だけだった。
・
・
その後も優良物件を夢見て、河川敷をさまよう。
・
・
朽ち具合は良さそうだが、やや乾燥しているこの朽木。
・
アオゴミムシが集団で潜んでいた。
・
・
樹皮がなく乾燥しているのがよくわかる倒木。根元の方は朽ち具合が良さそうだ。
・
・
ヒメマイマイカブリ
柔らかければやや乾燥気味でも越冬に適した物件と判断するのだろう。
・
・
探索開始から2時間が経過。狙いの湿地性ゴミムシはかすりもせず、だんだんとやる気が失われていく。
・
・
橋の下流側も探してみようと思い、来た道を引き返す。
・
雨がまったくかからず、乾燥していて草も生えない場所が一部ある。
・
ふと足元を見ると、獣の落とし物。犬か猫のものだろう。
・
・
・
そして、この瞬間、気づいた。つい最近、目黒区で見てきた某虫の生息環境と共通するところがあるではないか。湿地性ゴミムシを探しに来たのに、それと対極にある環境に足を止めていることになるが、今はそんなこと関係ない。こっちの方が全国的に見ても珍しい虫なのだ。木の枝を拾い、そっとひっくり返してみる。
・
・
・
すると、予想通り見つかった。
・
カバイロヒョウホンムシ
建物の下などの雨風が当たらない乾燥した地面で生活する、小さな甲虫。目黒区での生息は知られているが、報文にはなっていないのでTKM未認定種(東京都未記録種)。そこから遠く離れたこんな場所で、新たな生息地が見つかるとは。
・
周辺を詳しく探すと、狭い範囲に多くの個体が生息していることがわかった。近くには犬小屋もあり、定期的に食料が供給されるので繁栄しているのだろう。今日の狙いとはまったく違うが、思わぬ収穫が得られて良かった。
・
・
その後、橋の下流側を探してみるが、湿地性ゴミムシはかすりもせず。
・
・
下流側で見つけた一番良い物件はこの切り株。
・
アオゴミムシ
そこそこの個体数が入っていた。
・
ヒメマイマイカブリ
1匹だけ入っていた。
・
そもそも木が少なく、草原のような環境が多いので朽木狙いは厳しい。こんな小道を歩いていると、夏場はあまり近寄れないものも見つかった。
・
・
スズメバチの巣
・
それほど大きいものではない。
・
解体してみると巣盤は4段。
・
巣の主はコガタスズメバチだった。
・
・
15時頃、河川敷を後にする。狙いの虫はまったく見つからなかったが、思わぬ珍虫が見つかって良かった。しかし、付近にあった立て看板にはこの橋の改修工事が翌日始める旨が書かれていた。せっかく見つけた生息地も、この冬には消えてしまうのだろうか・・・。