夏の石垣島2014

2014.Jul.3-7

今年の家族旅行は石垣島へ行くことにした。学生時代に3回、就職後の2009年に1回訪れており、これで5回目。今回は家族旅行のため、当然ながら昼間は観光に専念。夜に灯火めぐりで、南の島の虫たちに出会おうという作戦だ。

採集に費やせる時間も限られているので狙いは特にないが、あえてひとつだけ目標をあげるとするならば、タイワントゲフチオオウスバカミキリ。南方系の巨大なカミキリで、遠目にはまるでゴキブリのような姿をしている。10年前の8月には、外灯の下で鳥に食われた直後の死骸を拾ったことがある。今度こそは生きている姿を拝みたい。外灯の下に鎮座する黒い影を思い描きながら、相方と怪獣2匹とともに旅立った。


7月3日(木)

羽田空港からの直行便で、17時過ぎに石垣島に到着。ホテルにチェックインして、夕食を済ませる。ある程度落ち着いたところで、灯火めぐりに出発。

21時半前、とある公園に到着。車を降りて、外灯の周辺を照らしながら歩いていく。


トサカフトメイガ

緑色をした蛾はついつい撮影してしまう。個体数はわりと多い。


ヤエヤマニイニイ

南西諸島いるニイニイゼミの仲間。以前も灯火に来ている個体を見たことがある。


アミメヒラタゴキブリ

翅の白い網目模様がとても美しく見えたので思わず撮影。

公園内にどのくらい外灯があるのか把握するべく、車で移動しながら目星をつけていると、22時になったところで、いきなり外灯が消えてしまった。

仕方がないので入口に戻ると、1つだけ点灯しているところがあった。すでに飛来している虫の写真をとりつつ、本命の飛来を待つ。


シロスジヒトリモドキ

南西諸島に来たことを実感する大型のヒトリガ。


ヨコスジサビカミキリ

海岸沿いのオオハマボウ林で見るイメージだったが内陸部でもいるのは意外。

しばらく待つが、新しい虫の飛来はないまま時間だけが過ぎていく。このまま帰るのは悔しいので、明かりがついてる公衆トイレへ。


ナガクシヒゲムシ♂

コメツキダマシにしては違和感があり、最初は科がわからなかった。奥多摩でよく見るムネアカクシヒゲムシに似ていると気づいて科が判明。

これ以外はめぼしい虫はおらず、ここでタイムアップ。

帰途につくが、最後の悪あがきで公園外の最寄りの自販機に寄り道。


アリモドキゾウムシ

生サツマイモの持ち出し禁止の原因となっているゾウムシ。生きているのは初めて見た。


ゴキブリの一種

翅の網目模様と、透き通るような体に思わず撮影し、その後すぐに手を伸ばした。


コヨツメアオシャク

翅の周辺の縁取りがとても美しいアオシャク。

皮肉なことに、ここがもっとも虫の種類が多かった・・・。

ホテルに帰った後、何気なくコインランドリーを覗いてみる。


ナガクシヒゲムシ♀

近くにもこんな良い虫が来ていたとは・・・。明日はもっとがんばろう。

7月4日(金)

昼間は観光、観光。


バンナ公園の展望台


西表島


名蔵湾方面


於茂登岳方面

真夏の日差しが照り付ける展望台付近では虫影は少ない。


イシガキモリバッタ

展望台直下の日陰にいた。


アヤムネスジタマムシ

近寄ったらすぐに飛び去った。


ヤエヤマカラスアゲハ

近寄っても逃げることなく、吸蜜にいそしんでいた。

この後、麓の公園で怪獣さんは遊ぶ。全長78mという長大なローラー滑り台を3回ほど滑ったところで、昼食。

午後は、涼しい場所へ。

1室だけの展示だったので短時間で撤収。

他に、撮影はしなかったが鍾乳洞も見学。

夕方からはマングローブでの観察ツアー。怪獣さんは生きたカニを初めて見る。


シレナシジミ

日本最大のシジミで、この個体は幅10cm前後。参加者一同驚いていた。


ムツトゲサシガメ

ツアーで見たほぼ唯一の昆虫となった。

ホテルに戻った後、ちょっとだけ公園へ。到着したのは22時を過ぎており、外灯はほとんど消灯していた。


フタホシコオロギ

野生のものを見るのは初めてかもしれない。

7月5日(土)

昼間は観光、観光。

今日は船に乗って隣の島へ。

竹富島に初上陸。道路に敷き詰められた砂の照り返しがまぶしい。


名物の水牛

北海道出身やオーストラリア出身もいるらしい。怪獣さんは興味津々で、長時間居座って観察していた。

夜は再び公園へ。早い時間なのでまだ外灯はついている。しかし、月が明るくて虫の飛来はいまいち。


リュウキュウクロコガネ

飛来した後に隠れることもなく、無防備に路上で休憩していた。


ワモンサビカミキリ

南西諸島産はピンク色がより強い印象がある。

本命のタイワントゲフチオオウスバカミキリは飛来しそうにないので、思い切って移動することにする。目指すは10年前、死骸を拾ったあの外灯。

やや迷った末に、1時間ほどしてその外灯を発見。しかし、残念なことに消灯していた・・・。意気消沈して、帰り道の自販機を見ていく。


イリオモテキイロクチキムシ

特定の自販機のみに密集していた。


ヤエヤマノコギリクワガタ♀

サキシマヒラタ以外のクワガタを初めて見た。

7月6日(日)

旅も4日目、疲れも溜まる頃。昼間は観光、観光。


川平湾

視界に広がる様々な青が美しい。


グラスボート

怪獣さんも恐る恐る覗き込む。

クマノミなど、いろんな魚が見られた。


八重山そば

学生時代に滞在した時はギリギリの生活で食べる余裕がなかった。


コーシュンシラホシハナノミ

川平公園を散策している途中に服に飛来した。

今晩で最後ということで、日没前にホテルを出発。今日は於茂登岳でささやかな灯火採集。

電池式蛍光灯を設置して、虫の飛来を待つ。日が暮れると、林内でホタルの光が明滅する。

空を見上げると、半月がまぶしいくらいに輝いている。これは、虫の飛来は期待できないかも・・・。林道を歩いて時間をつぶし、しばらくしてライトの元へと戻ってくる。


ヒロオビオオゴマフカミキリ

触角も切れて、だいぶ擦れている個体。久しぶりに見ると大きく感じる。


イワサキゼミ

ツクツクボウシの仲間で、大きさも姿も良く似ている。

他には蛾が少しだけ来ていた程度。これでは本命は期待できそうもない。

移動する前に周囲を照らしてみると、トカゲの死骸を発見。何気なくひっくり返してみると、無数の甲虫が慌てて逃げ出した。


ヤエヤマコブマルエンマコガネ

九州以北にいるコブマルエンマコガネよりも前胸の「こぶ」が鋭く突出する。なかなかかっこいい。

喜びもつかの間、これ以上の甲虫の飛来は見込めない現実に引き戻される。こうなったらダメもとで、林道を脱出して近くの自販機へ。

車で移動し、初めて見る自販機で再チャレンジ。


ヒラタミツギリゾウムシの一種

1匹だけだったので慎重に確保。わりと珍しい種類のはず。


タテスジハンミョウ

南西諸島でよく見るハンミョウのひとつ。

さらに、近くに見えた別の外灯も調べてみる。


コマダラゴキブリ

上翅の模様がなかなか渋い。


ムシスジコガネ八重山亜種

上翅は光の当たり具合で色が変化する。


アミメツマキリヨトウ

蛾の数は少なめ。


スジハサミムシ

黄色いきれいなハサミムシ。

結局、本命のカミキリムシは姿を現すことなくタイムアップ。今度は、怪獣さんが大きくなってから再挑戦することにしよう。

7月7日(月)

台風が近づく中、石垣島をあとにした。

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