近場の谷戸巡り その1

2015.Nov.22

秋も深まり、平地でも紅葉が盛りを迎えている今日この頃。虫影も日に日に少なくなり、冬季採集を始める時期になってきた。成田近郊で狙っているが出会えずにいる虫に今年も挑戦することにしよう。

その虫は湿地性の美麗ゴミムシで、水田・休耕田の周辺でみられることが多い。関東では千葉・茨城で広く薄く生息しているのだが、冬季に掘り出すにはいろいろと条件が揃った谷津田でないと難しい印象。以前に案内してもらった生息地に似た環境を求めて近所を探した結果、意外と近くになんとなく良さそうな場所を見つけ、下見もしてきた。そろそろ越冬体勢に入っているはずなので、冬季採集の開幕として訪れてみよう。


今回の目的地は家から非常に近い。怪獣1号・2号とともに探索を開始。

とにかく掘りたがるので、目的地に到達する前に少し掘る。当然のことながら、クモやゴキブリ幼虫が少々出るくらい。早々に切り上げて本命の場所へ。

本命の場所に到着。下見段階では非常に良さそうに見えたが、実際に掘るとなると意外と場所がない。潜っていそうな場所の草をかき分けてみるとコンクリートの壁が出現したりと、完全に誤算。

二人で仲良く掘っている間に、周辺をざっと探索することにする。

良さそうなエリアはしばらく続くが、掘れそうな崖は森林の要素が強すぎてダメ。狙いの虫は草地の虫なので、もっと開放的な場所に崖があるといいのだが・・・。

あまりに場所がないので、ダメ元で少しだけ掘ってみる。


ムナビロアオゴミムシ

狙いの虫と同じアオゴミムシ亜科だが、方向性はやや異なる。また春に来てトラップを仕掛けて狙うことにしよう。

怪獣たちの様子を見ると、2号は発掘作業となると集中力が持続するが、1号はかなり飽きてきて、2号にいじわるしたりしている。帰ろうと主張する1号を説得して、すぐ隣の谷戸へ向かう。

隣の谷戸。最初の谷戸に比べると排水性が良いため、狙いの虫には少し厳しい環境。

しかし、入口付近にあるこの崖は掘ってみたかった。

ササが密生しているということは、ゴミムシ類が隠れる隙間がたくさんあるということ。

表面は乾燥しており、内部もやや乾燥気味で土も固め。ネズミ類の巣とみられる古い坑道もある。こういう場所だと、あの美麗ゴミムシが出るはず。そう思って掘ると、すぐに大きな虫が転がり落ちた。


オオキベリアオゴミムシ

成田市近郊ではこのゴミムシとはよく遭遇する。上翅の黄色い縁取りもそうだが、緑色に輝く上翅も非常に美しい。

さらに追加を狙って掘ると、意外な虫も出てくる。


ヒメアメンボ

こんなところで越冬することもあるらしい。

少し掘ると、また大きな虫が転がり落ちる。


オオキベリアオゴミムシ

一度に複数見つけるとは、ここは個体数が多いのかもしれない。

その後、さらに2個体を追加する。今年の早春の探索での経験と併せて考えると、体が大きいので自分で越冬窩を掘ることはせず、ネズミの古い坑道や割れ目などを利用することが多いのだろう。怪獣1号の主張が激しくなってきたので、なだめすかしながら最後の1回として条件に当てはまる場所を掘ってみる。

ここは、いるだろう。

この隙間、たぶん潜っているだろう。

あいにくLEDライトを忘れてきたので照らし出すことは出来ないが、脚が3匹分見えているのがわかるだろうか。これらの個体は採集せずそのままにしておこう。

ここで、12時を知らせる鐘がなった。この奥に行っても狙いの虫は難しいことは下見段階でわかっているので、今日のところはこれで引き上げることにした。

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