近場の谷戸巡り その2

2015.Dec.1

早いもので今年も残りあと1ヶ月。虫影はさらに少なくなってきているが、気温はそこまで下がっていない。暖冬と言われているが、昆虫たちは暦に従ってもう越冬体勢になっているはず。前回の探索では狙いの虫は見当たらなかったので、昨年訪れた場所でもう一度挑戦することにしよう。


ほぼ1年ぶりに到着した某谷戸。昨年と比べて落葉が遅いようだ。

今日は怪獣2号と一緒。落葉の道を歩いていくと、足元からクロスジフユエダシャクが次々と飛び立つ。

適当なところで水田に降りて、掘る場所を選ぶ。

こんなところを掘ってみることにしよう。

怪獣2号もすぐに近寄ってきて、そばで一緒に掘り始める。掘るといっても、私が鍬で崩した土をスコップでもう一度掘り返す程度。これでは虫は見つけられないだろうが、作業そのものが面白いらしいので良しとしよう。

しばらく掘ってみるが、6本足の生き物はまったく出てこない。脚が多い生き物の数もまばら。ここはダメなのか・・・・。

「むったん!(虫さん!)」

突然、怪獣2号が声を上げ、スコップで指し示す。そこはついさっき土を崩したところで、昆虫は何もいなかったはず。怪獣2号にとって「虫」は陸生の節足動物の総称なので、きっとクモでも見つけたのだろう。


ヨツボシモンシデムシ

本日最初の甲虫を先に発見されてしまい、怪獣2号の認識能力を甘く見ていたことを反省。それにしても、この状態で虫とわかったことは驚き。久しぶりに見るとこのオレンジ色がとても鮮やかだ。

しばらく掘ってみるが、追加の甲虫は何もでなかったので場所を変えることにする。

谷戸の奥へと進んでいく。やがて、耕作放棄されて湿地となっている場所にたどり着く。このあたりで掘れる場所を探してみよう。

湿地の脇にある斜面。斜面手前に細い水路があるが、枯草で橋渡しが十分にされているので大丈夫だろう。

ササが生えているが、そこをかき分けて掘ってみると土は意外と固まっている。根も絡まっていて掘りにくいが、外敵が到達しにくく越冬に適しているはず。

しかし、なかなか狙いの虫は出てこない。それでも、諦めずに掘り続けていると、1匹のゴミムシが姿を現した。


コキベリアオゴミムシ

湿地に生息する美麗ゴミムシのひとつ。同じく1年ぶりの再会。本種がたくさん出てくるような環境に狙いのゴミムシは生息するらしい。1匹でも出てくるということは可能性が出てきたということなので、さらに掘り進めていく。

しかし、昨年と同じく追加個体がなかなか出ない。やはり、ここではまだ環境条件が足りないのか。そうこうしているうちに怪獣2号が眠気を訴えてきたので、車に戻る。

車を走らせているうちに、怪獣2号は眠ってしまった。このまま家に帰るにはまだ早過ぎるので、どこか良い場所はないか地図を見て考える。

しばらく車を走らせ、湿地帯へ到着。周囲の環境もなかなか良くて、期待できそう。怪獣2号はまだ寝ているので、起こさないよう静かに探索開始。

岸辺で掘れそうな場所を探していると、ススキの根元に良さそうな場所を発見。鍬でそっと崩してみる。

すぐに大きな虫影が姿を現した。


ヒメマイマイカブリ

脚が緑色を帯びており、なかなか美しい。

さらに、ノイバラをかき分けて土の崖を掘る。


コキベリアオゴミムシ

ここでも出てきたということは、狙いのゴミムシの可能性あり。


ヨツモンカタキバゴミムシ

初採集のゴミムシ。小さいが美麗種だ。

さらに掘ろうかとも思ったが、オサ掘りの格言が頭に響く。

「朽木は再生産するが、崖はそうではない」

春になったらもう一度来てトラップを仕掛けることにしよう。ちょっと遠いが、この環境ならまた来る価値はあるはず。

車に戻ると、怪獣2号は目を覚ましていた。来シーズンを楽しみにしつつ、帰途についた。

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