2015.Aug.1-5
8月になり、待ちに待った夏休み。今年は家族旅行で佐渡に行くことにした。佐渡で有名な虫といえば、サドコブヤハズカミキリとサドマイマイカブリ。サドコブは秋の採集例が多いようだが、8月ならもう新成虫が出ているはず。サドマイマイは情報が特にないので心配ではあるが、なんとかなるはず。観光がメインなので採集に充てられる時間は多くはないが、果たして出会えるだろうか。
1日目
バス、電車、新幹線を乗り継いで、新潟県に到着。そこからバスで港まで移動し、ジェットフォイルで出港。
高速走行だが揺れもほとんどなく、気づいたら両津港に着いていた。
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レンタカーを借り、少しドライブしてから宿に到着したのは夕方。夕食を食べた後、車に乗って大佐渡方面の山へ。
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「秋は山の上から始まる」ということで、頂上付近で探索開始。最初は舗装道路沿いの灌木やササなどを叩いていくが、サドコブは落ちない。さすがに、こんな乾燥している場所にはいるわけないか。
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車で周囲の状況を確認しながら進むと脇道を発見。時間的余裕がないので、とりあえず枯枝を見つけてはビーチングネットの上で叩く。
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3回目の枯枝だったろうか、大きな虫が転がり落ちた。
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サドコブヤハズカミキリ
とりあえず、最初の1匹。やはり真夏でも新成虫は発生していた。タダコブとは明らかに体色が違うので、まるで別種のようにも見える。
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成虫が潜んでいたのはこの枯枝。地面すれすれにあり、灌木の陰に隠れていた。
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少し引いて見るとこんな感じ。暗くてよく見えないが、小道は森の中に続いているようだ。この奥にはもっとたくさんの個体がいるように思うかもしれないが、サドコブが潜む枯枝というものは人為に頼った方が圧倒的に多く見つかる。森の中へ行くよりも、林縁、道路沿いを探す方が効率が良い。ということで、似たような環境を求めて車で移動する。
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次に降りたのは、こんなところ。舗装道路沿いで乾燥が激しそうで一見すると良くない環境に見えるが、道路脇は剪定作業がされており、良さそうな枯枝がそこそこある。そして、近くに沢があって湿度も高め。
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まずは山側の林縁をビーティングしていくが、サドコブは落ちてこない。発生しているのだから、環境さえ合えば個体数も多いはずなのだが・・・。
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続いて谷側を見ると、状態の良い枯枝が、より多く放置されている。このカエデ類の枯枝の状態、コブ好みだなと思いながら眺める。
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茶色い葉に、黒い影。
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サドコブヤハズカミキリ
こちらの気配には気づいていないようで、じっくりと撮影できた。茶色い枯葉に浮かび上がる、この渋い色が素敵。
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タダコブと同じく目視で見つけられることがわかったので、目視重視の探索に切り替える。
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眼で見ていない場合も、叩き網の上で最後の確認。しかし、外から見ていない場合、まず期待できない。
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外から見ていない枝を何回か試してやっと1匹落ちてきた。この枯枝はかなり込み入っていたので、遠くの方がよく見えず見逃したのだろう。
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叩き網からサドコブを採って、次に見たのがこの枯枝。
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まず、小さめの個体。
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続いて、ちょっと大きめの個体。
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2匹を確保した後、叩き網を車に置いてきた。夜露で地面近くの葉が適度に湿っており、サドコブはそれをかじりに寄ってきている。昼間と違って隠れずに葉の上に堂々と止まっており、その色黒の体は非常に目立つ。一方、叩き網が入りそうな地面から浮いた位置の枯枝はパリパリのまま。この状況では、サドコブ狙いで叩き網を使うのは無駄。目視で十分だ。
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その後は、サドコブが集まりそうな状態の良い枯枝だけを見ていく。
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距離にしてほんの50mほどだが、目視でそこそこの個体数が得られた。
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今夜はこれで満足し、宿へと戻った。
2日目
旅行の目的はあくまでも観光。朝、宿の近くの林にコップを埋めてから出発。
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まずは、この公園。
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皆の注目を集まるのは、この島のシンボル。
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実物は意外と小さかった。
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昼は小佐渡方面の山に移動。怪獣2匹は寝ているので、昼食後にちょっと探索。
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なかなか環境の良さそうな登山道。
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刈られた枝もあちこちに放置されているが、どれも乾燥が厳しく虫が落ちてこない。
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林道を歩いてみるが、暑さと乾燥という状況はあまり変わらない。叩いても、サドコブは落ちてこない。
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葉の上には飛び古したトラフシジミの姿。最初はゼフィルスかと思ったくらい色が薄かった。
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フキバッタの一種
個体数はかなり多く、近づくと気配に驚いて飛ぶ。
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それでもしつこく叩いていると、触角の長い虫が落ちてきた。
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ビロウドカミキリ
同じく昼間は枯葉に潜むカミキリムシだった。
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車に戻る途中、地面を高速で走る生きものがいることに気づく。
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どうやらハンミョウのようだ。飛ばずに走るということは、おそらくあの種。
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マガタマハンミョウ
日本海側の山地では普通に見られるという。生息地に足を踏み入れたことがなかったので、今回初めて見る。
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その後、車で小佐渡の西半分を一周。岩場の景色と日本海の青さがきれいだった。
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夕方、宿の近くのトラップ設置場所へ。
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とりあえず、獣には荒らされていないようだ。さて、何が入っているだろうか。
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サドクロオサムシ
(クロオサムシ佐渡亜種)
佐渡の特産亜種のひとつ。この個体は緑色がかっているが、普通の赤銅色のものも入っていた。
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宿で改めて撮影。サドマイマイカブリは明日以降に期待しよう。
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夜は小佐渡方面へ車を走らせるが、途中で体調が悪くなる。昼間に行った山へなんとかたどり着いたが、まだ旅行は続くのでここで無理はできない。少し探索しただけで何も採らず帰途についた。
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3日目
出発前に、トラップを見に行く。
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獣の被害はなし。さて、中身はどうか。
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昨日と同じく、オサムシはサドクロオサムシのみ。サドアオオサムシくらいは入ってほしいのだが・・・。まだ時間はあるので次に期待しよう。
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午前中は島の最北端へ。干潮時には隣の島へ歩いて渡れる場所。
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冷たくてきれいな水につかり、しばし遊ぶ。怪獣2号は水と砂という2つの好物が揃ったので熱中している。
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一方、浜辺には打ち上げられた藻が溜まっているのでチェックしてみる。
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ハマベゴミムシダマシの一種
色の変異があるのでそれなりに個体数を採集する。
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市街地に戻って昼食を買った後は、山へ。昼食後、少しだけ探索。サドコブを見つけた場所が昼間どうなっているのかを見ておくために。
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最初の1匹を見つけた場所。あの時の枯枝は乾燥でパリパリになっていた。道の奥にも行ってみたが、枯葉がなくて何も採れず。
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続いて、目視でサドコブがたくさん見つかった場所。強烈な日差しを受けて、枯葉はまるで別物となっている。
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もはや叩くまでもないことは、叩き網に散らばる破片を見ても明らか。おそらく昼間は林床に潜り込んでいるのだろう。「夜になるとよく採れる」という理由がよくわかった。
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せっかくここまで来たので、みんなでトレッキング。
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道沿いにはアサギマダラの姿が目立つ。ゼフィルスも1匹いたが、撮影直前に逃げられてしまった。
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20分ほどで山頂に到着。怪獣1号は自力で登り、ポーズを決める余裕すらあった。怪獣2号は抱っこなので楽々登山。
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本当はこの先の池に行って牛を見たかったのだが、体力的に厳しいので引き返すことにする。
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つづら折りの山道を車で下っているうちに、怪獣2匹は撃沈。暑さと山登りは意外とこたえるのかもしれない。
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しばらく進むと、前方に大きな影。
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牛の群れが休憩していた。怪獣2匹は眠ったままなので、相方が写真撮影して後で見せることに。
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夕方、再びトラップへ。
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サドクロオサムシ
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今日はゴミムシも入っていた。残念ながら、マイマイカブリの姿はなかった・・・。
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疲れがかなり出てきているので、今晩は宿に留まる。
4日目
昼前の便で、佐渡を出発。
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新潟に着いてからは、新潟市水族館マリンピア日本海へ。数ある水槽のうち、これが最も目を引く美しさ。
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触れるナマズの模型や、磯の生きものを触れるコーナーもあったりして、怪獣たちも楽しめるような作りになっていた。
5日目
午前中、バスに揺られて新潟せんべい王国へ。
描いた怪獣1号自身も「わからない」という芸術が出来上がった。
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その後、新幹線で東京へ。電車とバスを乗り継ぎ、この夏の旅行が終わった。今回出会えなかった佐渡の昆虫に会うため、怪獣が大きくなったらまた来ることにしよう。