2015.Jan.27
学生時代から何度か訪れている多摩川河川敷。大きな河川ということもあり、大雨によって毎年少しずつ地形が変わっていく。濁流に流された木々は下流のどこかの河原に溜まり、朽ちていく。そして、そこが昆虫たちの絶好の越冬場所となる。
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流木が溜まる場所は毎年変わるので、実際に現地に行ってみないとわからない。実際に学生時代にヨツボシゴミムシを採集した場所は地形が変わり、朽木の供給が止まってしまってゴミムシ採集も難しくなってしまった。久しぶりにヨツボシゴミムシ類を見たいと思い、あの時と同じような環境を求めて多摩川中流域へと向かうことにした。
電車とバスを乗り継ぎ、稲城市の多摩川河川敷に到着したのが12時過ぎ。空気は澄んでいて、奥多摩の山々も良く見える。
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ここは、稲城市唯一のアカジマトラカミキリの記録地でもある。学生時代にここで拾ったケヤキ流木から出てきたのだが、その後の堤防工事により岸辺の景観は変わってしまった。
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そんなことを思い出しながら、目星をつけた場所へと歩いていく。
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しかし、道は途中で通行止め。岸が洪水で削られ、道ごとなくなってしまったのだ。この先に良さそうな場所があったというのに・・・・。
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移ろいが激しい河川敷なので、これは仕方がない。
「ここで削られた分は、きっとどこかに溜まるはず」
そう思い直して、下流へ向かって延々と歩く。
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どのくらい歩いた頃だろうか、まばらな河畔林が残る場所に到着。期待を胸にさらに奥へと進んでみる。
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すると、枯草や流木が広範囲にわたって堆積しているのを発見。これぞ探し求めていた環境だ。以前のポイントと比べて朽木の量が少ないが、時間もないので贅沢は言っていられない。
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朽木を調べる前に、洪水で出来た崖を掘ってみる。
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フタモンクビナガゴミムシ
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コガシラアオゴミムシ
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アオゴミムシ
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アオヘリホソゴミムシ
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河川敷の常連のゴミムシが出てくるが、個体数は少なめ。ヨツボシゴミムシ類が出てくることを期待して、さらに掘ってみる。
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すると、大きな甲虫が泥まみれで出てきた。
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ヒメマイマイカブリ
久しぶりに見る多摩川のマイマイ。
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同じような場所を掘っても同じ虫しか出てこないので、ちょっと目先を変えてみる。
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崖っぷちに生えたクワの木の根元。根が崖に絡んでいて、越冬場所として良さそう。
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少し掘ると、多数のアオゴミムシ。
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続いて、ヒメマイマイカブリ。同じ場所から複数個体が出てくるのは初めての経験。
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マイマイカブリを得たところで、今度は本命の流木探索。朽ち具合を確認しながら、良さそうなものだけ調べていく。
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まずは、枯草に埋もれていたこの朽木。
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ひっくり返してみると、黒い甲虫の腹部が見える。
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ヒメマイマイカブリ
体を半分出して越冬しているのは初めて見た。
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続いて、表面を削っていく。
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アトワアオゴミムシ
実は初採集となるアオゴミムシ。
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キクビアオアトキリゴミムシ
小さいゴミムシだが、青く輝く上翅がすばらしい。
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オオクロカメムシ
樹皮に紛れてひっそりと越冬していた。
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ある程度採集したところで、別の朽木を探す。
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次は、こんな朽木。
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ヤガ科?の蛹
朽木の表面に潜り込んで蛹室を形成していた。いくつか持ち帰り、羽化させてみることに。
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ヒメマイマイカブリ
先ほどまでの個体と異なり泥にまみれていないので、前胸の色がよくわかる。
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オオマルガタゴミムシ
朽木割りの常連。
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しばらく朽木を探しては調べていくが、狙いのヨツボシゴミムシ類はまったく見つからない。
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もうひとつ崖をみつけたので、試しに掘ってみる。しかし水辺に近いからか、何も出てこない・・・。
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残り時間も少なくなってきたので、朽木探しに専念。範囲を広げて優良物件を探す。
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見るからに固そうなのでパス。
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キノコが生えているが、潜り込む隙間がないのでゴミムシはいなかった。
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朽木はそこそこあるのだが、良い状態のものはまったく見つからない。
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なんとなく良さそうに見えたとしても・・・。
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出てくるのはせいぜいアオゴミムシ。日も傾き、気温がだんだん低下していく。
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これで何本目の朽木をひっくり返しただろうか。
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イグチケブカゴミムシ
多摩川のこのあたりではなかなかお目にかかれないゴミムシ。とりあえず、これが見られただけでも良しとしよう。
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日没を迎え、北風が強くなってきた河川敷を後にした。