陸奥(みちのく)のスカシバガ

2017.Mar.25-26


体力を回復したところで、車に乗って探索を再開。昼食の少し前に通った松林で良さそうな物件が見えたので、虫えい探索の前にちょっとだけ寄り道をすることに。

道路からよく見えるマツの立ち枯れ。上部は折れていて、樹皮が浮いているのが遠目にも見える。

根元の方も樹皮が浮いており、オサムシが潜り込める状態。南側は乾燥しているので、日当たりの悪い北側の樹皮を剥がす。

少しずつ剥がすつもりだったが、かなり広範囲が一気に取れてしまった。逆光にくらんだ眼が落ち着くまで、しばし待つ。

高さ2.5mくらいのところに虫影が見えた。立ち枯れの根元に足場を確保し、ちょっと登って手を伸ばす。

肉眼でははっきりとその姿が捉えられているが、4倍ズームしかできないデジカメでは十分に近寄れない。

さらに登って大写しにできるようになった頃には異変に気付き、ゆっくりと歩き始めてしまったのでやむなく確保。


キタカブリ

今回はスカシバガが狙いの遠征ではあるが、青森といえばぜひ出会ってみたかった虫のひとつ。この緑の上翅と、赤紫に輝く頭部・胸部のコントラストが美しい。

さらに、目の高さほどの位置には別の虫影もあった。


ムツクロナガオサムシ(コクロナガオサムシ陸奥亜種)

青森県の特産亜種。ついでの採集で出会うのは難しいと思っていたので嬉しい。

さらに、林内を見渡すと良さそうな物件がもうひとつ。根返りしているマツの立ち枯れ。

さきほどの立ち枯れでこの場所のキタカブリが好む水分条件は掴んだので、ちょっと登って、ほどよく朽ちた部分を掘っていく。

すぐに、キタカブリの追加個体を掘り当てる。

複数個体が同じ空洞に潜んでいるところもあった。これだけ採れれば満足。車に戻って虫えい探索を再開する。

次に車を停めたのはこんな場所。日本海から吹き付ける強風の影響で形成されたカシワの低木林が延々と続いている。

ガードレールから下を見下ろせば冬枯れの斜面。

眼を凝らすと、クネクネと曲がるエビヅルの蔓が浮かび上がる。

滑落しないよう注意しながら探索を進め、最初の虫えいを発見。

脱出孔はないので少しだけ割ってみると虫糞が詰まっていた。飼育優先のため、これ以上は割らずにテープを巻いて塞いでおく。

眼が慣れてきたこともあり、次々と虫えいが見つかる。午前中のポイントと同様、細くて目立たないものが多い。

「ミチノクの体長はブドウやムラサキに比べて小さい」と文献にあったが、穿孔する幼虫が小さいために虫えいもあまり発達せず目立たないのだろう。やはり、実際に採集に来てみないとわからないものだ。

ある程度の数を確保したところで、次のポイントを求めて出発する。

次はマツ林のそばのこんなところ。この周辺だけ明るく、エビヅルが生えていそうだと直感したので停車した。

予感通り、エビヅルがあった。まだ若い株のようで、全体的に蔓が細い。

細くて目立たない虫えいも、眼が慣れているので簡単に見破れる。この株は今日一番の当たりで、株の規模に対して虫えいの数がとても多い。

今日一日で集めた虫えいはこのとおり。寄生蜂にやられているものができるだけ少ないことを願うばかり。

夕暮れが近づいてきたので、今日の探索はおしまいにして海岸へ。

カシワの低木林の中を進んでいく。

ふと、エビヅルが絡まっているのが目に留まった。枯れているようなのでちょっと折ってみる。

カミキリムシの幼虫が入っていた。

ブドウの常連3種か、それとも北日本特産種か。羽化してからの楽しみにとっておこう。

天候にも恵まれて虫えいもたくさん採れたし、キタカブリにも出会えて良かった。明日もこの調子でいけることを願うばかり。

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