晩夏の宮古島

2018.Aug.26-30

今年の家族旅行の行き先は宮古島。学生時代、独身時代にも訪れたことがないので、特産種、特産亜種はすべて初採集となる楽しみがある。

家族旅行なので当然ながら採集は夜がメインとなる。そこで懸念されるのは全国的に進む照明のLED化。その巨大な波に北総地域も完全に飲み込まれているが、遠く離れた南の島はまだ無事であってほしい。果たして、限られた時間の中でどんな虫に出会えるだろうか。


前日は沖縄本島の親戚の家に宿泊し、宮古島に到着したのは夕方。レンタカーを借りてホテルに着く頃には周囲が暗くなり始めていた。

夕食後、採集に出発。ホテル周辺の外灯はすでについているが、虫の気配はない。

すでにLED化が完了している。

最寄りのコンビニの照明も確認してみる。

コンビニや駅舎でよく見る、このスリムな蛍光灯風の照明。実は虫が全然来ないのだ。

この島もLED化の波に飲まれていることを確認したところで、事前に航空写真で目星をつけていた南部の林を目指す。

海岸沿いのとある林に到着。道の両脇は南西諸島でよく見る感じの二次林。島の南部に分布する、あの特産カミキリが今晩の狙い。車を降りてみると、とにかく風が強い。ここはビーティングよりも、目視主体で探そう。

車を停めたすぐそばにある、シマグワの部分枯れ。なんとなく気配を感じて照らしてみると、すぐに虫影が。

久しぶりの夜の撮影なので最初はピンボケ。落ち着いて、もう一度。


アシナガゴマフカミキリ
Mesosa (Mesosa) praelongipes Kusama et Irie

今夜の狙いである、宮古諸島の特産種。とりあえず、あっさり見つかって良かった。ある程度撮影したところで手を伸ばす。

この調子で次々とアシナガゴマフが見つかると思ったが、意外と苦戦。ビーティングしながら探すが、2頭目がなかなか見つからない。

そして、金網越しに枯枝をビーティングしようとしたところ、大きな細長い生き物が動いた。

体を器用に使いながら金網を登っていく。


サキシママダラ
Dinodon rufozonatum walli Stejneger

ちょうどビーティングする高さだったので、叩き落とすところだった。宮古島でもっともよく遭遇するヘビ(無毒)らしいが、この時は種名がわからなかったのでかなりの恐怖。

これ以降、ビーティングへの積極性が大幅に低下した状態で探索は続く。


カタビロカククチゾウムシ
Blosyrus asellus (Olivier)

幼虫はサツマイモなどを食べるゾウムシ。


ミヤコアヤモンチビカミキリ
Sybra (Sybra) flavostriata miyakojimana Hayashi

違いはよくわからないが、これも宮古諸島の特産亜種。この後、この枝をビーティングしてもう1頭追加。


リュウキュウギンヤンマ
Anax panybeus Hagen

この1枚を撮った直後に飛び去ってしまった。

そろそろ戻る時間になったので帰途につく。

最後に、別のコンビニへ。ここは照明の色が違う。

この島のコンビニから蛍光灯は絶滅していなかったようだ。虫もそこそこ飛来しているので撮影と採集を急いで行う。


シナコイチャコガネ
Adoretus (Lepadoretus) sinicus Burmeister

南西諸島ではお馴染みのコガネムシと再会。


スジボソサンカククチバ
Chalciope mygdon (Cramer)

初めてみる南国のクチバ類。


リュウキュウセスジゲンゴロウ
Copelatus andamanicus Regimbart

かなりの個体数が飛来していた。


アオドウガネ(おそらく八重山亜種)
Anomala albopilosa prob. ssp. sakishimana Nomura

物流の活発化とともに他亜種が入ってきている可能性は否定できない。


キボシサシガメ
Ectomocoris biguttulus Stal

初めて見る美麗サシガメ。素早いので採集に手間取り、手の甲に乗ったところを取り押さえる。その瞬間、中指の付け根に激痛が走った。

中指の付け根の腱のあたりを刺された。画像ではわかりにくいが、少し赤くなって腫れている。ホテルに帰ってからも痛みは残ったまま。麻痺や壊死などの不安を少し抱えながら寝ることになった。

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