2018.Aug.15
相変わらずの暑さが続くが、月日は着実に流れて気づけばお盆。今年も奥多摩の夢のひとつ、オオトラカミキリを狙う時期がやってきた。今月初めには富士山ではオオトラカミキリ発生の情報があり、奥多摩でもそろそろ成虫が野外で活動を始めているはず。
奥多摩にはモミ林がそれこそ無数に点在していて的が絞りにくいが、自分の足で到達できて、かつオオトラに遭遇するイメージを抱けるのは今のところ1ヶ所のみ。もう少し遅い方が確率が高そうだが、日程の都合上で今日しかない。たとえ姿を見ることができなくとも、現地に足を運ぶこと。そこで感じたことの積み重ねが、きっといつか実を結ぶと信じて。
午前10時、奥多摩駅に到着。夏休みということで平日にも関わらず観光客が多い。
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臨時バスを降りて歩き出すと、すぐに車の列。鍾乳洞の駐車場は入場待ちでいつも並んでいるが、集落の中心よりも手前から並んでいるのは初めて見た。
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車の列を横目に歩き続け、行列の先頭である橋に着く。
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久しぶりに見る谷の様子
トチノキには熟した実がたくさんなっていた。
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この登山口に来るのも久しぶり。
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噴き出す汗をぬぐいながら黙々と登る。
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12時、目的地の尾根に到着。
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長竿を持ち、リュックを置いて周囲の状況を確認。
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太い下枝に古い食痕が残るモミ。3年前は衰弱木だったが、今はもう立ち枯れ。
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はるか上方からヤニが垂れているツガ。明かに生息の痕跡だが、実は3年前に既に噴出していたので今まさに穿孔しているというわけではない。
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手が届く位置に羽化脱出孔があるツガ。これも3年前に確認済のもの。あの時は新鮮だった。
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今から3年前の2015年、オオトラは突如としてこの尾根で発生した。気づいたのが8月中旬、翌週にもう一度訪れたが遭遇はできなかった。学生時代から何度も訪れている尾根だが、オオトラ目線で改めて見ると確かにこの尾根のこの場所は注目すべき場所だろう。他にもモミ・ツガ林はあちこちにあるので1ヶ所で大発生ということはなく、せいぜい数頭のメスが飛来して産卵した結果だと思う。
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周辺をひととおり見た限りでは、今年はここで発生している気配はない。飛来するメスが幹を降りて来ることに望みをかけるという、非常に確率が低い採集となりそうだ。
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林内でも30℃を超え、汗の噴出が止まらない中、狭い範囲にまとまって生えるモミとツガの大木を巡回していく。
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尾根上だけでなく、斜面も徘徊する。
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遠くからこの群落を見つけてくれるメスが1頭でもいれば、今年はダメでも、来年、再来年にはチャンスが巡ってくるはず。
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他にもいろいろなことを考えながら、モミとツガを巡回していく。下は足元から、上は視力の限界まで。
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しかし、どれだけ目を凝らしてもオオトラらしき虫影は見えてこない。
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条件さえ良ければ、こんな低い位置にも産卵するというのに。
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木と木の間を移動する時、立ち枯れや倒木も軽く見てみるが、虫がほとんどいない。
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リョウブの新しい倒木
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ノコヒゲフトコメツキダマシ
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樹種不明の広葉樹の倒木
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ニイジマトラカミキリ
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結局、3時間粘ったが甲虫はこの2頭しか見かけなかった。
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日程の都合により、今年のオオトラ挑戦はこれで終わり。夢はまた来年に持ち越し。
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道路に戻ってきても、鍾乳洞周辺は相変わらずの人の多さ。
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駐車場待ちの列はようやく橋から見える範囲に収まったようだ。
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橋の近くでは早くもススキが穂を出している。
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バス停のそばではニラが満開。季節は確実に秋に向かっているのを感じつつ、集落を後にする。
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とりあえず、現地の状況をこの眼で確認したことが今日の収穫。さて、来年以降にどうやって遭遇しようか...。