カンボウトラカミキリ
累代飼育記録
2003年7月、東京都奥多摩町の伐採木置き場で産卵に来ていた♀を採集しました。
生かしたまま持ち帰り、ブナの枯れ木(福島県産)とともにタッパーに入れておきました。
エサとして清涼飲料水「リアルゴールド」をティッシュに染み込ませたり、クリの花を与えたりしました。
♀はさかんに産卵行動をとり、3週間ほど経ってこの世を去りました。
産卵セット(後日撮影)
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その後、タッパーをたまに観察する以外、ほとんど放置状態でした。
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産卵から1年以上経った2004年秋、ふと容器を見ると木屑が溜まっていました。
タッパー壁面には幼虫の姿が見え、しかも壁をかじって穴をあけているところでした。
脱走されては困るので材の向きを変えて、少しだけ過湿しました。
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2004年12月18日
また材のことを思い出し、中に新成虫がいるかもしれないと思って少し削ってみました。
樹皮の下には食痕がびっしりとついており、やがて蛹が現われました。
これ以上削るのをやめて、ティッシュで削ったところを覆い、羽化脱出を待つことにしました。
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そして2005年3月2日
2匹の成虫が羽化脱出してきました。
1匹は以前採集した♀と同じくらいの大きさの♀で、
もう1匹はかなり大きい♂で18o強あり、図鑑に示されている最大サイズと同等です。
体色は黄色いので福島県産とは異なり、東京産の♀の子と考えられました。
2005年3月
♂と♀が羽化してきたので、再び累代飼育に挑戦することにしました。
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産卵させる材は、ケヤキとコナラの剪定枝を用いました。
切られてから1〜2ヶ月くらいとみられるものです。
この材を短く切ってタッパーに設置しました。
エサとしてクワガタゼリーを与えて、
乾燥を防ぐためにティッシュペーパーを入れ、霧吹きをして加湿しました。
こんな感じです。
画像下側の壁面に♀個体が止まっているのが見えます。
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成虫を中に入れて5分後に見ると、もう交尾していました。
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その後、気温が低いせいか成虫の活動は少ない状態が続きました。
タッパーの壁面にとまったままほとんど動かない日が多かったです。
それでもたまに交尾行動は観察できました。
エサも食べているのかどうかよくわからないので
このままでは産卵せずに死んでしまうかもしれないと思い
大学の恒温室(25℃)に持って行きました。
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温度が高くなって活動が活発になりました。
ところが♂は以前にも増して♀に交尾を迫っていました。
このままでは産卵に支障が出ると判断し、♂を取り出しました。
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♀だけにするとやがて材の表面を歩き回り、産卵場所を探しているようでした。
そしてついに、産卵を確認しました。
後脚と重なって見えにくいですが
産卵管を伸ばして材の割れ目に差し込んで産卵しています。
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あとは、定期的に産卵材を入れ替えることで
より多くの産卵が期待できそうです。
(2005/3/22記)
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その後、前代と同じように材を放置して様子をたまに見ていましいたが、
木屑が噴出することはありませんでした。
半年後くらいに材を割ってみたものの、食痕すらみあたりません。
残念ながら孵化しなかったのかもしれません。