双翅目の標本作製法
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双翅目の標本には、翅の開き方により以下の2つのタイプがあります。
1.翅を垂直に立てるタイプ
2.翅を水平に開くタイプ
翅を立てるタイプは形態観察に適しているので、分類学者はこのような標本を作ります。
翅を開くタイプは形態観察には適しませんが、見た目が良いため展示用に向いています。
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実際の作成方法
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材料と道具
昆虫針、まち針、発泡スチロール、カッターナイフ、ピンセット、タッパー、乾燥剤
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手順
1.翅を垂直に立てるタイプ
1.針を胸部の右側に刺す(鉛直に刺し、虫体が針の上から1/3くらいの位置にくるようにする) 2.ピンセットで翅を上に立てる(胸部を上下から軽く圧迫すると良い) 3.ピンセットで脚を下方に伸ばす 4.頭が正面を向くように回転・調整する 5.針刺しした虫を発泡スチロールの台座に鉛直に刺す 6.必要であれば、まち針を使って脚や翅の角度を調整する 7.タッパーに収納し、乾燥剤を同封して1ヶ月ほど乾燥させる 8.針を慎重に抜き、ラベル(採集場所、採集年月日、採集者を記入)をつけて完成 |
側面から
真上から
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2.翅を水平に開くタイプ
1.針を胸部の右側に刺す(鉛直に刺し、虫体が針の上から1/3くらいの位置にくるようにする) 2.ピンセットで翅をつかんで左右に開くことを確認する 3.ピンセットで前脚・中脚を前方へ、後脚を後方へ伸ばす 4.頭が正面を向くように回転・調整する 5.針刺しした虫を発泡スチロールの台座に鉛直に刺す 6.適当な厚さに切った発泡スチロール片を胸部の横に配置し、まち針で固定する(翅の付け根の高さとスチロール片の上面が同じ高さになるようにする) 7.ピンセットを使って翅を45度くらい開き、まち針をつけた発泡スチロール小片あるいは厚紙で翅を固定(翅を刺さないように注意) 8.必要であれば、まち針を使って脚の角度を調整する 9.タッパーに収納し、乾燥剤を同封して1ヶ月ほど乾燥させる 10.針を慎重に抜き(翅を固定する小片の針を抜く時は、小片を押さえながら)、ラベル(採集場所、採集年月日、採集者を記入)をつけて完成 |
前方から
後方から
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翅を開く標本については、以下のブログも参考になります。
ハナアブ屋の独語:標本の作り方
ゴトウヒラタの戯言:標本