昆虫採集関係の用語解説

昆虫学用語辞典などの書籍には掲載されていない用語を中心に掲載しています。


表記 読み方 解説
あ  洞虫  うろむし 

樹洞を主な生息場所とする昆虫のこと。
生態が判明していない時代には稀にしか採集されなかったため、珍種とされる種が多い。

例 ベニバハナカミキリ オオチャイロハナムグリ 

記載 きさい

論文で「この種は今まで知られているどの種とも異なるので新種とする」という発表をすること。
種レベルに限らず、新亜種、新属、新科などそれぞれのレベルでも記載は行われる。

文例 ルリボシカミキリ(Rosalia batesi Harold,1877)は、Harold氏が1877年に新種記載した種である。
  御神木  ごしんぼく  比較的珍しい昆虫が毎年安定して見られる木のこと。
大木であったり、生えている位置が絶妙であるなど、昆虫が集まりやすい条件が揃っている。
虫屋は御神木とされる木をとても大事にする。 
材採集 ざいさいしゅう

材採と略され、食材性昆虫の幼虫や成虫を得る目的で行われる。
穿孔している材から幼虫や成虫を割り出す場合と、材を持ち帰って成虫が羽化するのを待つ方法とがある。

文例 過度の材採集は生息環境を悪化させるのでオオクワガタなどで問題となっている。
三角紙標本 さんかくしひょうほん

主に、トンボを横向きに三角紙に入れて乾燥させて標本としたもの。
分類のためには展翅標本よりも横向きの方が便利で場所も取らないのでよく用いられる。
チョウが標本として売買される場合はこの形態をとることが多い。

文例 採集して冷凍庫に放り込んだまま乾燥してしまったものを三角紙標本と称する場合もある。
新成虫 しんせいちゅう

ある時点で羽化した成虫を、それ以前に羽化して成虫のまま生きているものと区別する時の呼び方。
単に蛹室の中にいる成虫のことをさす場合も多い。

文例 冬にタケを割るとベニカミキリの新成虫が見られる。
立ち枯れ たちがれ

枯れてもなお空に向かって立ち続けている木のこと。
強風により折れるまで、多くの昆虫が産卵に集まる。

文例 高尾山では道沿いの立ち枯れは歩行者の危険を理由に伐採される。
タトウ たとう

脱脂綿を紙で包んだ、主に甲虫の標本作製に用いる道具。四角紙ともいう。参考
脱脂綿の上でピンセットを使って展足し、折りたたんで乾燥箱に収納する。
紙の代わりにCD・MOケースやチャック付ビニール袋を使ったものもある。

文例 タトウの利点は、展足板に比べて場所を取らないことである。
虫エイ ちゅうえい

植物の枝や葉の内部に昆虫が穿孔して、コブのように盛り上がっている部分。
虫コブなどとも呼ばれる。

文例 虫エイは昆虫がそこに生息しているサインである。
土繭 つちまゆ

土を塗り固めて球状にし、中に蛹室を作ったもの。
「どまゆ」「どけん」「つちまゆ」など複数の読みがあるらしい。

文例 羽化したカナブンが土繭を破って脱出してきた。
土場 どば

貯木場、伐採木&薪置き場の俗称。
カミキリムシやタマムシ採集における良いポイントになる。

文例 土場の樹種(針葉樹か広葉樹か)により飛来する虫の種類が変わる。
伐採木 ばっさいぼく

人間がノコギリやチェーンソーで切り倒した木のこと。
カミキリムシなどの甲虫が産卵のために集まる。

文例 林道入口脇に伐採木が放置されている。
飛孔 ひこう

材の中で羽化した成虫が材の外に脱出する時に空ける穴のこと。
一般にタマムシでは楕円形、カミキリムシでは円形か楕円形、ゾウムシでは円形。

文例 キクイムシの飛孔に好んで産卵するカミキリムシが存在するらしい。
虫屋 むしや

昆虫採集を趣味とする人や、昆虫を研究対象にしている人のこと。
「専門分野 + 屋」であり、一番多いのが「蝶屋」、次いで「甲虫屋」である。

文例 虫屋だけでなく、「植物屋」「クモ屋」「石屋(鉱物採集家)」なる集団も存在する。
虫屋の三大関門 むしやのさんだいかんもん

人生の分岐点において虫屋を待ち受けるとされる試練。
受験(進学)、就職、結婚の3つを指すが、特に最後の一つは相手があることなので難関とされる。

文例 大学進学後に目覚めた場合、虫屋の三大関門のひとつはすでにクリアしている。

累代飼育 るいだいしいく

飼育条件下で繁殖させ、複数世代にわたって飼育すること。単に累代ともいう。
クワガタ類では一般的に行われている。

文例 売られているオオクワガタは累代飼育で得られた個体が多い。

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