検索で出てくる誤同定画像

検索で出てくる無数の昆虫画像のうち、誤同定が多いものをまとめてみました。
誤った情報を流用することでWeb上で誤同定が拡散しているものを中心に紹介していきます。

ハムシダマシとオオクビボソムシ

以下、随時追加予定

 検索の落とし穴:拡散する誤同定画像

 スマホやパソコンの普及により、一般の人にも虫の同定作業(名前調べ)が以前よりはるかに簡単になった。デジカメの普及や性能向上により、小さな昆虫でも細部まで鮮明に見える画像も増えてきており、紙媒体の図鑑を上回る画質のものもしばしば見かける。こうした状況もあって、「検索すれば何でも調べられるのだから、図書館で専門的な図鑑を見る必要などない」などと思う方も増えていると思うが、検索&画像同定にはいろいろと落とし穴がある。そのひとつが、誤同定の拡散である。

 そもそも、昆虫は一般の人が思っているよりもはるかに多くの種数がある。日本だけでも名前がついているものだけで3万種以上おり、蝶でも200種は軽く超える。よく似た種も多く、体の毛の数を数えたり、翅の長さを測定したり、解剖をしないと区別できない種もかなりいて、画像での同定ができないものもかなり多い。ところが、こうした事実はあまり知られていないため、「ちょっと模様が違う気が・・・別種?」「良く似た種がいるかも・・・」という疑問が生まれることもなく、「似てるから、これで決まり!」で終わらせてしまう人が意外と多いように見える。これが、誤同定の大きな原因である。

 また、名前で検索して画像が出てくるのは日本に生息している昆虫のごく一部にすぎない。チョウやトンボといった、比較的大きくて人気のある分類群はほぼ全種の画像が見られるが、その他の分類群では検索しても画像が出てこないものが多々ある。特に、専門的な図鑑や文献を見ないとわからない種類は当然ながらweb上での情報もほとんどない。こういう状況で、誤同定の拡散は発生しやすい。
 例えば、web上に画像が1枚もない種の画像と称して、まったく別種の画像が1枚掲載されたとしよう。検索すると、多くの人がその1枚の画像にたどり着く。「1枚だけで確定するのは危険だな」と判断できる人もいるだろうが、「見つけた! これに間違いない!」と、何の疑いも持たず信用してしまう人もいるだろう。そして、そのうちの何割かの人は、web上にほとんど画像がない珍しい虫ということで自身のサイトやブログやSNSに掲載することが多いだろう。それを見た人が、同じように画像を掲載していく。なにしろ、Web上に誤同定を疑わせるような画像がないのだから。
 こうして、徐々に検索でヒットする画像の数が増えていき、みんな同じ名前がついていることで納得してしまい、誤同定が拡散していく。やがて誤同定の画像が検索結果の大半を占め、正しい画像があたかも誤同定であるかのような状況にまでなってしまう。

 図鑑であれば出版までに専門家による厳しいチェックが入るので、誤同定は限りなくゼロに近い(ゼロではないが・・・)。Web上で公開する場合でも、大学、博物館、農業試験場などの公的機関の場合には専門家のチェックが必ず入るので信頼性はかなり高い。一方、個人のサイトやブログやSNSは虫のことがまったくわからない人でも簡単に画像を掲載できてしまう。簡単にできるからこそ、多くの人に影響が及ぶという意識が抜け落ちてしまいがちだ。

 検索で出てくる画像が年々増えて画質の向上も著しいのは嬉しい限りだが、せっかくの美しい画像の数々に間違った名前がついているのは悲しい。名前を調べるのは簡単なようでいて実は結構難しいこと、安易な決めつけによる誤同定は時として既成事実化することを、少しでも多くの方に知っていただければ幸いである。

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