秋風に舞う大陸の蛍

2009.Sep.19-23


4日目 9月22日

8時、起床。食糧が尽きたので買い足し、もう一度あの山へ。天気は悪いが、それなりの装備があるので大丈夫。

雨カッパを装着して、登山開始。

前夜の雨で森は潤い、前回とはまるで違った表情を見せる。まるで、映画「もののけ姫」に出てくるような姿だ。

植林から再び照葉樹林に戻る頃には、雨が少し強くなる。今日の狙いは、前回は見つからなかったツシマセダカのオス。雨でもビーティングはできるので、気合いを入れて探索開始。


食痕が残るアオキの枯葉

前回メスが落ちてきたのとは別の場所にて。きっと、どこかにいるはず。


コゲチャサビカミキリ

枯葉を叩き続けるも、たまにこの種が落ちてくるくらい。

20分ほどした頃だろうか。雨が止み、木漏れ日が差し込む。レンズが曇ってうまく撮れないが、実に幻想的な光景だ。

そして、叩き網にも手ごたえがあった。

間違いない。


ツシマセダカコブヤハズカミキリ♂

この長い触角、さすが西日本のセダカ。たった1匹だけだが、これでもう満足だ。

ちなみに、落ちてきたのはこんなところ。倒木に枯れた蔓植物が大量に絡まっているところだった。

下山する途中、森の美しい表情に思わず足を停める。70cm四方の叩き網が小さく感じられる木々が、空気中に漂う細かい水滴でかすんでみえる。

夏にはセダカが産卵に訪れたであろう、見事な倒木。様々な生き物が調和するこの森なら、また立派な木が生えてくることだろう。

砂利道に戻ってくる頃には、すっかり明るくなった。

トラップも見てみたが、驚くほど何も入っていなかったので撤収。2日目の夜、ツシマカブリモドキをしっかり採集しておいて正解だった。さて、次はまた側溝めぐりにいくとするか。

昨日と同じ側溝。


ルイスオオゴミムシ

冬場のオサ掘りで良く見かける。


ツシマヒラタクワガタ♀

どうも側溝で歩いているのはメスばかり。


フタホシスジバネゴミムシ

ちょっとオシャレな初採集のゴミムシ。


ヨツボシモンシデムシ

紋があるシデムシ類のうち、最普通種。


ヒナカマキリ

照葉樹林の林床に生息する、日本最小のカマキリ。


ツシママムシ

そして、今日も遭遇。蛇運はそんなにないはずだが、今回はよく見る。

この他に、林縁を飛ぶ虫も少々採る。


ウラナミジャノメ

良く見るヒメウラナミジャノメとは目玉模様の数が違う。一般には少ないが、対馬ではむしろ本種の方が多い。


キイロスズメバチ(上)とコガタスズメバチ(下)

キイロは亜種にはなってないが、九州のものより赤みが強い。コガタの方は、それほど変わらない。

ひととおり側溝を見たが、まだ時間が中途半端に余っている。もう少し虫エイを確保しておきたいので、めぼしい場所へ車を走らせる。


例1 畑の脇の柵

ノブドウやヘクソカズラが絡まっている。

羽化殻が出ているものは、持ち帰っても仕方がない。

こんなものを選んで、持ち帰る。


例2 道路脇の並木

ノブドウやヘクソカズラが絡まっている。

ガードレールに乗って蔓をたぐり寄せ、ノコギリで適当な大きさに切断。

この後、適当に車を走らせて材採集に適した場所がないか探す。

とある林道で、伐採地を発見。ただ、切ったのがつい最近のようで採集には適さない。時期さえ合えば、きっといろんな種類が集まってくるというのに。

そして、いつのまにか島は雲に覆われ、雨粒も落ちてきた。今晩は、灯火巡りもせず、休むことにしよう・・・。

inserted by FC2 system